経営危機脱却の切り札?JDIがスマホ指紋センサー量産へ

ガラス基板の指紋センサー。透明で大画面化にも対応

ジャパンディスプレイ(JDI)は2019年度内に東浦工場(愛知県東浦町)でスマートフォン向け指紋センサーの量産を始める。既存のディスプレー技術を応用し、モバイル機器による電子決済の普及で高まるセキュリティー対策需要に応える。スマホ用液晶パネルへの依存を軽減するため、有機ELパネルと並ぶ新規事業と位置付ける。経営危機脱却の切り札となるかが注目される。

JDIが東浦工場で生産を立ち上げるのは、スマホやタブレット端末向けの静電容量式ガラス指紋センサー。ガラス基板を用いることで、従来のシリコン基板では難しい大面積化を実現し、指全体を検出可能なセンサーサイズを低コストで確保できるという。ガラスの高い透明性も特徴で、ディスプレーとの組み合わせで端末の意匠性を向上させる。 

これまでの指紋センサー事業は、同じ指紋認証用途で住宅などのドアロック向けで供給実績がある。ただドアロックは市場が限られ、より大きな需要を見込めるモバイル向けに狙いを定めて海外スマホメーカーなどと共同開発を進めてきた。

今後、指紋センサーの受注が順調に増えていけば、東浦工場だけで賄えない可能性がある。20年度以降に、スマホ用液晶パネルの主力拠点・茂原工場(千葉県茂原市)を候補に増産投資を検討する。

同じく新規事業と期待する有機ELパネルは米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」の新モデルに採用され、11月中にも茂原工場で量産を始める見通し。こちらも有機ELパネルの増産対応として、現在操業休止中の白山工場(石川県白山市)の活用に向けた検討に入っている。

経営危機のJDIは現在の債務超過を解消する資金調達計画を優先せざるを得ない。ただ危機を脱した後の成長戦略も同時に実行しなければ“日の丸ディスプレー”の真の復活はかなわず、指紋センサーなど新規事業の育成が急務と判断した。

日刊工業新聞2019年11月12日

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