ジャパンディスプレイがVR向け高精細液晶を量産、中国大手が採用
薄型・軽量に貢献、5G向け機器への採用に期待
ジャパンディスプレイ(JDI)は、仮想現実(VR)機器向けで精細度が世界最高級の1058ppi(1インチ当たりの画素数)を持つ液晶ディスプレーの量産を始めた。高精細化により搭載機器の薄型・軽量化を実現。第5世代通信(5G)時代において顔に装着するVRゴーグルやVRグラス普及の課題だった重厚感を低減できる。第1弾として中国の大手電子機器メーカーが発売したVRグラスに採用された。
JDIが東浦工場(愛知県東浦町)で量産に着手したVR用液晶ディスプレーは2・1型で、得意な低温ポリシリコン(LTPS)の薄膜トランジスタ(TFT)を使う。光学設計を工夫するとともに、VRグラスの鼻あて部分に合わせて2枚の液晶ディスプレー形状を見直した。
スマートフォンなどにつなぐVR機器は利用者の没入感を高めるため、複数枚のレンズを用いてディスプレーに映した動画などを拡大させる構造だ。映像を拡大しても画質を維持できる高精細さが求められる。一般的なスマートフォンのディスプレー精細度は400―500ppiだ。
今回JDIの液晶ディスプレーを搭載したVRグラスは厚みが従来製品と比べて半分程度まで薄くなったという。高速大容量などが売りの5Gサービスの商用化は今後のVR普及のカギを握る。ただ、これまでのヘッドマウントディスプレー(HMD)などVR機器は大きくて重い場合が多く、長時間の視聴や外出先での使用が難しかった。機器の薄型・軽量化につながる基幹デバイスの登場はVR市場の本格的な立ち上がりを期待させる。
日刊工業新聞2020年2月17日