品質管理にAI導入、セイコーエプソンの「無人工場」への挑戦

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AIを搭載した外観検査用装置。品質のゆらぎなどを自動判定できる

インクジェットプリンターを支える超精密なコア部品がプリントヘッドだ。セイコーエプソンが独自開発したプリントヘッド「プレシジョンコア」は高精度、高密度にインクを吐出できるのが特徴。オフィス用の複合機や商業・産業用の大判プリンターなどに搭載されている。プリントヘッドの前工程となる「プリントチップ」を生産する同社工場が広丘事業所9号館(長野県塩尻市)だ。

広丘事業所9号館は2018年に完成。それまでプリントチップの生産は諏訪南事業所(同富士見町)のみだったが、需要の高まりを受けて2拠点体制を構築した。現在も需要に応じて段階的に増強しており、今後はチップ生産能力を従来比で最大3倍まで高める方針だ。

「24時間365日止まらない工場を目指している」。技術開発本部の上條隆弘副本部長はこう強調する。同工場は人工知能(AI)を搭載した外観検査装置や、寸法検査装置を導入。品質のゆらぎや不良品を自動判定できる。諏訪南事業所と比べ検査工数を80%削減する目標を掲げる。

AIの導入で検査の精度は着実に向上してきた。ただ、「最近では人が判定しても、AIが判定しても判別できない場合がある。後はどこで線引きするかの問題」(上條副本部長)としている。

工場は24時間365日体制で稼働中だ。一方で、製造装置などに異常が発生した場合、技術者を呼んで対応してもらう必要があるため、一時的に生産を停止することもある。夜間に異常があれば、朝まで生産がストップする可能性もある。

こうした現状を踏まえ、今後は人員の再配置を行う。作業員による運搬作業などを自動化し、製品の異常検知や装置の予知保全に携わる人員を増強する。最終的に「無人工場の実現」(同)を目標としており、同社の挑戦は今後も続く。(張谷京子)

【工場データ】

広丘事業所9号館は鉄骨造の地下1階、地上5階建て。建設面積は1万653平方メートル、延べ床面積は4万6915平方メートル。プリントヘッドの前工程であるプリントチップを生産。プリントヘッドの研究開発設備も備える。

日刊工業新聞2020年9月1日

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