本当にコロナのせいなのか?「しろくまツアー」倒産が映す旅行代理店の危うさ

三つの不安要素

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利幅の薄い格安ツアー以外には稼ぎ頭がなない(写真はイメージ)

オンライン旅行事業を手がけるホワイト・ベアーファミリーを中核としたWBFグループは、インバウンド需要の拡大に伴ってホテル投資を過熱化した。それがコロナ禍で一気に反転し、負債総額500億円を超える最大の新型コロナウイルス関連倒産となった。

同社は1977年に前代表が大学の友人とスキーサークルや学生ツアーの運営を目的として創業した。その後、スキーブーム終焉(しゅうえん)、インターネットの普及などを経て、98年にパッケージツアーのネット販売を始めた。紙パンフレットや法人営業を廃止し、「しろくまツアー」などの名称で展開する。格安ツアーとしては高い知名度を誇り、2009年9月期には年売上高100億円を突破していた。

10年以降は外国人観光客の急増を追い風に積極的なホテル投資を開始。特に大阪・関西で地元の信用金庫・信用組合、地銀の支援を得てビジネスホテルの新規計画を進め、17年頃から全国で20棟以上の新規ホテルを開業した。

こうした中、コロナが到来。旅行・ホテル事業の売り上げは一気に消散。3月にグループで金融機関にリスケを要請したが、膨れ上がった債務もあり民事再生法の適用申請となった。

同社などの倒産はコロナの影響によるもので、やむを得ないものだったという見方がある。しかし、コロナ以前から取引先では経営を不安視し、取引を慎重にする動きがあった。主な不安要素は三つ。

最も不安視されていたのは旅行業界での立ち位置。利幅の薄い格安ツアー以外には稼ぎ頭がなかった。二つ目は余裕のない資金繰り。資金は銀行借り入れに依存し、長年手持ち資金は月商を下回る程度にとどまっていた。三つ目は競争激しい関西におけるホテル事業の不振。近時は空室が目立ち、ホテル事業の収益が悪化していた。

民事再生法で再建となった今、観光業にとって激動の時代の中で同社などの真価が問われることになる。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年8月25日

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