ファストファッションは“アパレル倒産”をどこまで引き起こすのか

ワールドワイドラブ、単価落ち込みに勝てず

 ファッションブランド「ワールドワイドラブ」は、“ロック”をテーマにミュージシャンやロンドンテイストのストリートスタイルを取り入れ、10―20代の女性を中心に支持を集めた。だが、時間の経過とともにファン層は大人になり、移ろいゆく流行の中で人気ブランドの地位を保ち続けるのは至難の業だ。

 現在の経営企業が設立されたのは、2006年。旧ワールドワイドラブから会社分割により設立された。当時の旧会社の親会社の経営破たんに伴い、事業を引き継いだ。07年には、別のアパレル企業の傘下に入ったが、その会社も経営難から株式を手放す。その全株式を譲り受けたのが、現代表の野村茂樹氏だった。

 こうした紆余(うよ)曲折を経ながらもワールドワイドラブの人気は健在だった。ほかにも「Rydia」などのブランドを擁し、13年7月期には年売上高約18億円を計上した。

 しかし、ファストファッションの台頭で既存のアパレルブランドは苦戦を強いられた。同社でも、全盛期には2万円程度だった客単価が半分以下に落ち込んだ。少子化による若年層の減少も響いた。加えて、商品政策の失敗などから在庫増加が負担となり、14年後半ごろからは資金繰りに関する信用不安情報が顕在化していた。

 その後は、代表による資金注入などで信用不安情報も鳴りを潜めていたが、18年に入ると再び支払いに支障が出はじめた。この間、店舗閉鎖などから売り上げも大幅に減少、18年5月期(決算期変更)には約6億4800万円に低迷。19年1月21日、自主再建を断念し東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

 同社の曲折は、流行の最先端を行くアパレル企業にとって、ある意味宿命的なものだ。そうした意味では、人気ブランドの民事再生は非常に示唆に富んだケーススタディーとなり得る。
(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2019年3月26日

  

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