ビッグデータで不良を緻密に分析、安川電機の製品力向上サイクル
安川電機がデータを活用して製品不良の原因を緻密に分析する取り組みを進めている。ビッグデータ(大量データ)で原因特定をより真因に近い深層領域で行う。「故障の分析ピラミッド」や「フォルトツリー解析」(FTA)と呼ばれる手法で、製造工程に起因する不良なのか設計上の問題なのかを見極める。これにより製造から設計部門への設計変更要求も説得力が増し、製品の改善につながる。データを基軸にした製品力の向上サイクルが形成され始めた。
この取り組みは、ITを活用した次世代工場「安川ソリューションファクトリ」(埼玉県入間市)がけん引する。2019年度は同工場で生産するサーボモーターとサーボアンプを合わせて、開発・設計部門への改善項目が作りやすさやソフトウエア、ハードウエアの変更などを含め100件あった。工場で稼働データを取得して一元管理し、ビッグデータで生産管理すると開発段階では見えない製品のバラつきや設計の改善点が見える。
従来は不良の要因を大まかに把握することしかできなかった。データを活用することで不良要因が製造工程で発生したものか、設計段階か、調達部品の寸法精度に起因するのかが判別できる。
同工場では最新のサーボモーター「Σ(シグマ)―7シリーズ」などを製造する。製造現場から設計への変更要求はシグマ7シリーズについては適宜実施している。改善点の一部は次期サーボモーターの設計に役立てる。
データは見えるだけでは意味がなく、分析して製品の革新につなげることが重要だ。安川電機が進める生産現場の自動化コンセプト「アイキューブメカトロニクス」が機能し始めている。