全自動PCR検査装置量産に向け新工場、PSSが生産能力3倍に
プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)は、全自動PCR検査装置を量産化するため、秋田県大館市に新工場を建設する。生産能力を現状比3倍以上に引き上げる。2021年にも稼働させ、現在開発を進めている、1台で24検体を約2時間で検査できる機種を中心に生産する計画。新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない中、迅速な検査体制を求める国内外の需要に対応していく。
同社は新工場建設のため、3万平方メートル程度の用地取得に向けて、関係者らと交渉している。20年内にも着工したい考え。経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」(採択金額上限20億2300万円)を活用する。
全自動PCR検査装置は人手による作業を介さないのが特徴。検査者の安全性を確保できるだけでなく、人的なミスによる誤判定も大幅に低減できる。新工場で生産予定の新機種は大病院から検査センター向けで、装置1台を24時間稼働した場合、最大で2880検体の処理が可能だ。
また、新工場では装置とともに使うプレバック核酸抽出試薬も生産する。海外に続き、国内でも同試薬が保険適用になったことなどにより、国内医療機関から引き合いが増加。現在は子会社のエヌピーエスの大館試薬センター(秋田県大館市)で生産しているが、すでに1日3交代のフル稼働となっており増産要求に対応できなかった。
新工場はこれら試薬のほか、装置や専用消耗品などの生産を統括する役割も担う。生産体制が整うことで、今後は営業活動を本格化し、医療機関や検査センターのほか空港や港湾への導入も促す。これら計画内容を盛り込んだ新中期事業計画(21年6月期―23年6月期)を8月下旬にも発表する方針だ。