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パジェロ製造閉鎖、三菱自CEO「サプライヤーには丁寧に説明する」

「東南アジアだけで勝負するわけではない」

三菱自動車の2023年3月期を最終年度とする中期経営計画が始まった。生産子会社のパジェロ製造(岐阜県坂祝町)の工場を閉鎖するなどの構造改革を推進。一方、強みの東南アジア地域に経営資源を集中させて将来の成長に向けた足場固めを行う。加藤隆雄最高経営責任者(CEO)に現状と今後を聞いた。

―構造改革はサプライヤーにも影響します。
「生産停止を決めたパジェロ製造と取引する部品メーカーは多い。同拠点で生産するミニバン『デリカD5』などは岡崎製作所(愛知県岡崎市)に移管するので、引き続きご協力いただきたい。欧州への新車投入凍結などはインパクトがある。サプライヤーにはご迷惑をおかけするかもしれないので丁寧に説明する」

―欧州事業縮小にロシアは含まれますか。
「ロシア事業は現状のままだ。当社内の区分ではロシアと欧州は別だ。仏グループPSAとのロシア合弁工場からは欧州に車を輸出していない。旧ソ連圏内で完結している」

―東南アジア地域に経営資源を重点的に注ぎます。“一極集中”の懸念は。
「ASEAN(東南アジア諸国連合)地域に集中するのは間違いない。しかし同地域以外でも中国や米国、豪州で商売をしている。欧州が抜けて東南アジアだけで勝負するわけではない。他地域でも収益を上げられるように南アジア、南米、アフリカ、ある程度収益が得られている豪州といった国々で『第二の柱』を作る」

―東南アジアが今後の事業展開の上で重要なハブになります。
「一つ言えるのは東南アジアで作った商品は『第二の柱』で挙げた地域に展開しやすいことだ。今でもインドネシアから南米などに車を輸出している。(重点車種は)多目的車(MPV)『エクスパンダー』やスポーツ多目的車(SUV)、ピックアップトラックだ」

―日産自動車と仏ルノーとの3社アライアンス(企業連合)については。
「(開発領域や展開地域ごとに主担当『リーダー』と『フォロワー』の会社を決めた強化策については)あくまでアライアンスの枠組みを使う際に適用されるものだ。中国事業では当社の連携先が(リーダー会社の)日産と異なるため、一緒にできないことはアライアンスで了解されている。独自で活動する部分はリーダー、フォロワーは関係ない。個社だけではできない時に相談し合う」

日刊工業新聞2020年8月7日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
3カ年の中計期間のうち最初の2年はコスト改革に集中する。3年目に成長段階へ移行するには避けては通れない。東南アジア地域については域内の市場拡大と合わせて、競争優位をさらに盤石にする。第二の柱として挙げた南米や中東、アフリカなどへの事業展開も加速する。規模の追求ではなく、収益性の伴う成長が大前提となる。

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