ニプロの地域医療見守りサービス、感染症対策へICTをフル活用

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生体情報や栄養摂取状況を一元的に管理でき、適切な医療サービス提供につなげられる

ニプロは地域医療を実現するための見守り支援システム「ニプロハートライン」を拡充する。利用者が主治医や看護師、薬剤師と同時にテレビ電話で対話できる機能を秋にも追加する計画だ。自社製の医療機器を通じて取得した患者の生体データを基に、問診から服薬指導までのチーム医療を展開する。国内事業部長の吉岡清貴常務は「感染症の流行時期にも、オンラインで安心して情報共有できる仕組みを整備したい」と戦略を描く。

ICT活用

ニプロハートラインは情報通信技術(ICT)を活用する。自社製の医療機器から近距離無線通信「ブルートゥース」により患者の体温や血圧、血糖値などをリアルタイムで医師と共有する。ウエアラブル端末などから得られた測定値が一定基準を超えると、医療従事者に通知する仕組みも構築した。24時間対応で異常の早期発見のほか、医療従事者の負担軽減にもつながる。

新機能は画面を最大6分割して映す。これまでのテレビ電話では医師との1対1での会話に対応していた。主治医や看護師、薬剤師が連携しながら患者と対話できる。患者はスマートフォンなど端末上でシステムを利用でき、撮影した食事の写真などを共有することも可能。生体情報や栄養摂取状況を一元的に管理でき、適切な医療サービス提供につなげられる。システムは医療施設を中心に今後2―3年で、2万―3万件の採用を目指す。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて規制緩和が進み、4月からオンラインの初診が可能になるなど遠隔医療の実現に向けて前進した。

ニプロハートラインは2009年から過疎地域の患者を主な対象として運用してきたが、都市部でも増加するオンライン診療や服薬指導のニーズを取り込む。

在宅医療に貢献

感染症の流行や外出が困難な高齢者などに対応し、慢性疾患治療や手術後の回復状況を把握するなど地域における在宅医療に役立てる。従来は医師による問診から看護師が治療し、薬剤師が医薬品を処方するまで分業体制が取られていた。新機能では「検査や服薬履歴のデータを集約し、病院や薬局での多職種連携を通じてきめ細かな見守りが可能になる」(吉岡常務)と意義を強調する。

医療機器を通じて取得した患者の生体データを基にチーム医療を展開する

ニプロハートラインには、新機能として医師との予約管理や決済機能なども充実させる予定。同社が開発した健康管理アプリケーション(応用ソフト)「ニプロげんきノート」との連携も進める。医療機器を通じて測定した体温や血圧、体重、体格指数(BMI)などの項目を記録する。日々の体調データを記録し、未病予防につなげる。

健康管理質向上

同社は23年頃に北大阪健康医療都市「健都」への本社移転を予定している。健都は地域住民の健康増進コンセプトに掲げ、国立循環器病研究センターをはじめ多くの企業がヘルスケア事業の実証地として活用している。ニプロは地域の調剤薬局と連携し、ニプロげんきノートなどを活用した健康管理の質向上を目指す。(大阪・中野恵美子)

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