世界シェア首位のテイカ、医療機器向け圧電単結晶材を増産のワケ
テイカは、医療機器向けの圧電単結晶材料を増産する。約15億円を投じ、大阪工場(大阪市大正区)内に生産棟を新設する。生産能力を倍増する計画で、米国子会社で手がける同材料を日本国内でも生産できる体制を整える。拡大が期待される医療機器向けの需要を取り込む。2021年夏に完成予定。既存の圧電セラミックスも含めた圧電材料事業として、30年度に売上高100億円を目指す。
増産する圧電単結晶材料は、医療用超音波画像診断機のプローブ(探触子)内部に組み込み、超音波を発生させたり、反射した超音波を電気信号に変換するなどの役割を果たす。既存の圧電セラミックス材料に比べ、電気信号への変換能力が優れており、より鮮明な画像診断が可能になる。
テイカは医療用超音波画像診断機向けの圧電セラミックス材料として、世界シェア約5割で首位。18年に圧電単結晶材料を生産する米国のTRSテクノロジーズ(ペンシルベニア州)を子会社化し、事業拡大を進めてきた。現在、医療用圧電材料としてはセラミックスが主流だが、今後はより高機能な単結晶の需要が高まるとみる。
新生産棟は3階建てで、延べ床面積は1036平方メートル。大阪工場内の遊休地を活用。同工場では現在、圧電セラミックス材料、界面活性剤、硫酸、防錆顔料などを手がける。
同社は6月、23年度に売上高550億円を目指す中期経営計画を策定した。医療用圧電材料や化粧品原料などライフサイエンス分野に経営資源を集中させ、計画達成を目指す。