世界2位の食品業界向け包装・計量機器メーカー、日米で医療機器参入の狙い
イシダ(京都市左京区、石田隆英社長、075・771・4141)は、日本と米国で医療機器事業会社を設立した。両国で2020年度内に市場投入を目指す、手術後患者の尿量と血尿の計測自動化で医療現場の負荷を軽減する装置など、医療機器の開発製造販売を担う。バイタルサイン(生命に関する基本情報)の一つである排尿のデジタル計測を実現すれば業界初。米国は、ほかの多様なバイタルデータを含めてクラウド管理し、提供するビジネスも視野にある。
イシダは世界2位の食品業界向け包装・計量機器メーカーで、19年度売上高1274億円。非食品分野では電子棚札を応用した病院の外来患者案内システムなど展開するが、新会社設立で医療機器市場へ本格参入となる。
設立した子会社イシダメディカル(同左京区)は資本金4950万円。米国では合弁会社「ISHIDA MEDICAL」を法人登記した。カリフォルニア州アーバインに事務所を置く予定。出資比率はイシダメディカル51%で、合弁先は製造を委託する受託製造の台湾ACHBや米ITベンチャーなど3社。いずれも開発中の排尿計測記録システムを中心に展開、23年度に日米の医療機器で売上高22億円超を狙う。
米国は手術大国で市場規模も大きい。同システムは多数の米大手病院への調査で高評価を得た。コロナ禍で病院業務の省人化と、代謝物からの感染リスク軽減が注目されており、市場開拓を進める。
同システムは排尿を遠隔監視でき、日本では電子カルテなどと連携を進める。クラウドベースのSaaS(ソフトウエアのサービス提供)に医療情報システムの集約が進む米国では、測定データをサブスクリプション(定額制)モデルで提供する。省人化とバイタルサインがキーワードの医療機器開発を進める傍ら、多様なバイタルサインデータを管理できるプラットフォームも構築していく方針。