患者・看護師どちらの負担も減らす!モバイル型投薬・点滴デバイス

  • 0
  • 1
モバイル型投薬・点滴デバイス「atDose」を手にする中村社長

【患部に直接投薬】

アットドウス(横浜市旭区)は、モバイル型投薬・点滴デバイス「atDose」の市場投入を目指す。現在、投薬方法は口からの投与が8割以上。しかし同方法は体を循環し、服薬量のごく一部が患部へ到達。非効率的な上、患部以外の臓器にも負担が生じる。一方、同社のデバイスは患部に直接投薬でき、効率的で体への負担が少ない。患者のQOL(生活の質)改善に大きな可能性を秘めている。

中村秀剛社長は、次世代バイオテクノロジー技術を使い理科学機器を製造するヨダカ技研(川崎市幸区)に入社。同社が開発する超微小液量操作技術を使った点滴デバイスをビジネスに落とし込むため、コンサルティングなどを経験した中村社長がアットドウスを立ち上げた。

【薬剤流動量調整】

同製品は髪の毛ほどの極細の注射針と、超微小液量を連続送液できるポンプで構成する。残量センサーや電子基板を搭載し、IoT(モノのインターネット)化も実現。スマートフォンとデバイスを連携し、薬剤の流動量が調整できる。患者自身に加え、医師によるリモートでの投薬など、遠隔治療の可能性を広げる。

通常の点滴は輸液バッグや長い管、立ち歩く際にはスタンドが必要で患者の動きを制限する。病院側も看護師が点滴残量を目視で確認する必要があり、手間がかかる。同製品は行動も制限せず、前述のリモート操作もできるため、双方の課題を解決する。将来はがん治療などにも使える製品を目指すが、医療機器は壁も多い。同デバイスは高濃度の薬剤を微量に調整し、投与することで効能を発揮する。そのため製薬会社との連携も不可欠だ。

【QOL高める】

少しでも製品の実用例を増やすため、国内ではまず、管理がしやすい栄養補給用のビタミン剤に活用する方針だ。同製品で栄養補給ができれば、中村社長は「術後の(点滴で動きが制限されていた)入院患者のQOLを高められる」と期待する。

またインドでの普及も目指す。同社によると新型コロナウイルスの感染が広がる中、人口の多い同国は病床確保が厳しく、元々関心が高かった遠隔治療の需要がより高まっているという。中村社長は「日本の基準に合わせつつ、インドで普及を進める」と戦略を語る。

点滴針が見えない形にできれば、患者の病気に対するストレスも緩和できるなど、医療の未来を広げる役割が期待できる。夢の実現に向け、協力先を集め、着実に前進を続ける。(川崎・大串菜月)

日刊工業新聞2020年7月9日

関連する記事はこちら

特集