ニッポンの技術を結集した新エース「N700S」、早くも改良車の声が

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東京駅6時発「のぞみ1号」がN700Sの一番列車となった

JR東海は1日、東海道新幹線に新型車両「N700S」を営業投入した。最高速度や加速度、曲線通過速度こそ従来型「N700A」同等だが、省エネルギー性や車内外の静粛性、乗り心地、サービス設備、緊急時対応力などは格段に向上した。究極・最高という意味「Supreme(スプリーム)」の名を持つ新型車はまさに「技術の集大成」(金子慎社長)。“日本の大動脈”を担う新エースは日本の高速鉄道技術の象徴でもある。

1日早朝、東京駅でN700Sの始発列車「のぞみ1号」の出発式を開き、金子社長は「13年ぶりのフルモデルチェンジ。グローバルスタンダードを目指した」と説明した。4編成で運用をはじめ、2022年までに40編成を導入する計画だ。

6月に営業車による本線走行の報道公開を終えて、開発を指揮した上野雅之執行役員は「新しい時代を象徴する車両。関係者の尽力に感謝したい」と話した。14年に国内外への展開を視野に、編成を柔軟に構成できる“標準車両”のコンセプトを提示してから6年。やり残したことは、と問いかけると「もう十分」と笑みを返した。

N700SはJR東海の小牧研究施設(愛知県小牧市)と国内鉄道車両関連メーカーの技術を結集して実現した。歴代の新幹線同様に駆動システムや軸受といった重要部品は複数社から調達。開発を通じて業界他社と切磋琢磨(せっさたくま)することで日本の電機、機械技術の底上げにも寄与している。

N700Sの進化の一つが車両ビッグデータ(大量データ)取得による状態監視だ。故障の予兆を検知することで“故障しない新幹線”の実現を狙う。新幹線鉄道事業本部車両部車両課の福島隆文課長は「メンテナンスや車両の開発に役立てたい」と話す。営業車の開発に貢献した確認試験車は今後、研究開発中の技術検証に使う。

N700Sの進化を後押ししたSiC(炭化ケイ素)パワー半導体やリチウムイオン二次電池などの技術は日進月歩だ。金子社長は「一つの技術を極めれば、次の課題が見えてくる」とも話す。福島課長はスピード向上の可能性こそ否定するものの「継続的な技術開発が重要だ」と今後に向け、いずれかのタイミングでバージョンアップした“2次車(最初のモデルの改良車)”投入を見据える。

さらにN700Aにも全般検査のタイミングで、N700Sに搭載した技術の一部を転用する改造工事も予定する。東海道新幹線はまだまだ完成形に、たどり着いていない。

日刊工業新聞2020年7月2日

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