懸念される第2波到来、電機メーカー各社が非接触・抗菌対応ビジネス急ぐ

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日立オムロンの「タッチレスソリューション」。非接触でボタン操作が可能

新型コロナウイルス対策で、電機メーカーが現金自動預払機(ATM)やエレベーターなどの公共設備を非接触や抗菌対応にする動きが広がっている。第2波到来の懸念が続く一方で、ニューノーマル(新常態)への移行が求められる。各社は新技術の開発で、新たな需要の取り込みを急ぐ。(編集委員・鈴木岳志、張谷京子)

空中でATM画面操作

OKIは、9月から同社のATMの操作画面上に抗菌フィルムを貼る。既に金融機関などに導入済みのATM、今後導入予定のATMいずれも対象で、顧客のニーズに合わせて対応していく。

さらに、ATM画面を非接触で操作できる技術を開発し、9月をめどに提供を始める。タッチセンサーの検出位置を変更し、画面表面から指を20ミリ―30ミリメートル離した状態でも反応できるようにする。同技術はATMのほか、OKIが手がける自動券売機や空港の自動チェックイン機にも導入提案を進める。

日立オムロンターミナルソリューションズ(東京都品川区)は、機器に触れることなく操作できるコンパクトタイプの空中入力装置「タッチレスソリューション」を10月までに発売する。内蔵した液晶ディスプレーを使って空中に大きなボタンを表示し、空中で押す、めくるという動作を行うことが可能。ドアの開閉操作やエレベーターのボタン入力などの用途で、既に十数社から引き合いがある。

今後は、空中入力装置の大型化、高機能化など製品群の拡充を進める。同社のATMなど各種自動機端末製品にも適用する。

フジテックは既設エレベーター向けに非接触で行き先階登録が可能な操作盤などを8月めどに開発する。赤外線センサー活用など複数の方式を検討している。4月に発売した新型エレベーターのオプションとして赤外線センサーを用いた「非接触ボタン」を投入したが、既存顧客からの要望も強いため適用範囲を拡大する。

フジテックの新型エレベーター用非接触ボタン

「手のひら・顔認証」で入退室

一方、人間の身体的特徴によって個人を特定する生体認証でも、非接触の手のひら静脈認証や顔認証の開発が活発になってきている。手のひら静脈認証は体の中の情報のため盗まれにくい、顔認証は既設の監視カメラで運用できるといった理由から導入が進んできたが、コロナ禍で衛生ニーズも加わりそうだ。

富士通フロンテックは、手のひらをかざすだけで個人を識別できるセンサー「パームセキュア」を展開する。これまでATMやオフィスの入退室装置、富士通製パソコンなどへの搭載を進め、累計販売台数は150万台を突破。世界60カ国9400万人が利用している。

新型コロナ感染拡大以降は、これまでなかった「医療機関の入退室装置や飲食店の勤怠管理システムへの搭載など、特に衛生意識の高い業界から引き合いが出てきた」(ビジネス企画推進本部デジタルフロント営業部の榎本樹氏)。今後は富士通グループ全体で、複合機や金庫・ロッカーなどへの導入も進め、顧客企業内の認証方式を手のひら静脈認証に統一する方法を提案する。

決済分野も開拓

ベンチャー企業のノルミー(東京都中央区)は、専用のセンサーなしでも手のひら静脈の認証が可能なソフトウエアを開発した。通常のスマホやタブレットに付属するカメラに手のひらをかざすだけで個人を特定できる。これまで国内企業を中心に導入を進めてきたが、新型コロナ感染拡大に伴い「フランスやカナダ、インドなど海外企業・団体からの引き合いが増加した」(岩田英三郎社長)。

今後は海外拠点の拡充を図り、2020年度に30社、21年度に100社への導入を目指す。岩田社長は「クレジットカード会社との協業などを通じてキャッシュレス決済分野での開拓を進める」と意気込む。

顔認証では、NECが5月に顔認証技術と虹彩認証技術を組み込んだマルチモーダル生体認証端末を開発した。マスクや手袋の着用時や、両手が荷物でふさがっているようなシーンでも個人を特定できる。21年度までに、まずは決済や入退室用途での提供開始を目指す。

富士経済(東京都中央区、清口正夫社長、03・3664・5811)が1月にまとめた調査によると、22年の生体認証の国内市場規模は18年比76・4%増の247億円になる見通し。顔認証は同3・6倍の58億円、静脈認証・ハイブリッド型認証(静脈認証と指紋認証の組み合わせ)は同66・0%増の176億円となった。

一方、指紋認証の市場規模は22年に同27・8%減の13億円になると予測。富士経済は、他の生体認証と比べてセキュリティー性能が低く、他の認証への移行が進むと分析している。


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非接触 抗菌

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