財界トップが語る「コロナ時代を生き抜くシナリオ」とは

経済同友会 桜田謙悟代表幹事

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ニューノーマルへ行動

世界は予測不能なVUCA(ブーカ=不安定性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代に入ったとこれまでも言ってきたが、改めてそれが証明された。新型コロナウイルス感染拡大を予測できた人がどれだけいただろうか。VUCAの時代で世界はどうなっていくのか。各自がシナリオを描き、そのシナリオの中で自分はどうありたいのか。私たちは思考を重ねる必要がある。

【キーワード】

私が描いたシナリオはこうだ。非接触、遠隔、デジタルがこれからの世界を捉えるキーワードになるだろう。例えば電子マネー、遠隔診療やeラーニングなど、これらのキーワードを軸にビジネスモデルは最も価値を生む形に進化し、新たな産業構造を形成するのではないか。

SOMPOホールディングスで言えば保険事業と介護事業を展開している。保険契約は対面だけではなく遠隔で結ぶこともでき、人工知能(AI)などデジタル技術を活用してインターネットで完結することもできる。ネット完結では時間の制約がなくお客さまの都合に応じて契約を結ぶこともできる。

介護は接触を避けては通れない業務だが、デジタル技術で効率を上げることが可能だ。例えば、要介護者のベッドにシート上のセンサーを敷き、異常振動を検知できるようにしておくと、介護職員は体調変化などにすぐに対処できる。介護職員は定期的に巡回しているが、その負担を軽減できる。

【外出する価値】

「わざわざ」出かけるという消費行動もキーワードになるだろう。外出自粛で「内食」「中食」が定着したが、「外食」に価値があれば人は外に出る。スポーツ観戦やレジャーもそうだ。そこに行かないと価値が得られないものが依然として存在する。それらは「わざわざ」出かける価値を提供するようなビジネスモデルやサービスであるかが今後問われることになる。

【共生を前提に】

ひとまず第1波は乗り越えたが、コロナがなくなることはない。そういう前提で、今挙げたキーワードに沿って価値を見直した時に、新たなビジネスモデルや商品・サービスが生まれニューノーマルが形成される。

急速に悪化した経済は足元では底を打ったようだ。6月の経済同友会景気定点観測アンケートによると今後は一定程度の回復をする見通しだ。ただ回復したとしても、業種によっては売り上げが昨年の半分くらいにとどまり、すぐに元には戻らないだろう。国も自治体も経営者もニューノーマルの時代の経済の再構築に向け今から行動しないといけない。

日刊工業新聞2020年6月30日

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