「非接触化」も影響?コロナ禍で働く子持ち女性の収入激減
新型コロナウイルス感染拡大による経済の停滞は女性の雇用を急激に悪化させている。女性の休業者比率は男性の3倍以上、中でも母子世帯は5倍以上になっている。女性の非正規雇用の割合が高いことが原因として考えられるが、社会の「非接触化」が女性の多い職場に影響を特に与えていると指摘する声もある。
労働政策研究・研修機構の調査によると4月1日時点で就業していた民間企業の会社員4,307人(20歳‐65歳未満)を対象に、5月の就業状況を調査したところ休業者の割合に男女間差が浮き彫りになった。
男性の休業者割合が1・6%であるのに対して、未成年の子どものいない女性は4・7%、未成年の子どものいる女性は7・1%だった。中でも母子世帯に限ると8・7%に達した。未成年子のいない女性は男性の3倍、未成年子のいる女性は4・4倍、シングルマザーだと5・4倍も高いリスクを抱えていることになる。
当然、労働時間や収入にも変化が出ている。3‐5月の平均とそれまでの通常月の比較では、子育て女性の平均労働時間は15.5%減り、平均月収は8.8%減少した。これは、女性が雇用の調整弁になりやすい非正規雇用や景気の波への耐性が低い零細中小企業に従事している割合が多いことが原因として考えられる。
2019年度時点で、男性雇用者の非正規雇用者は22.8%だが、女性はその2倍以上の55.7%を占める。
ただ、今回のコロナ禍特有の傾向もある。労働政策研究・研修機構の周燕飛主任研究員はレポート「コロナショックの被害は女性に集中」(6月26日)の中で、「通常の景気減速時とは大きく異なり、今回は自ら就業を控える子育て女性が多いことは特筆すべき」としている。男性よりは女性が子育てに関与している割合が一般的に高く、小中学校の休校による社会生活の急変で、必然的に仕事に使える時間は減ることになったからだ。
周主任研究員は、景気後退期になると、夫の所得低下や雇用不安に対応するため、妻が働きに出たり、労働時間を増やしたり家計の収入を補うモデルがこれまでは目立ったが、コロナ禍はこのケースから外れるとも指摘する。
女性がコロナ禍で打撃を受けたもう一つの理由に、女性比率が高い業種がコロナの影響が大きかったことが挙げられる。第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、レポート「女性雇用により厳しいコロナショック」(7月10日)で、接触を避ける行動が進んだことによって、サービス関連産業や卸小売業などで雇用が減少し、女性比率が高い職場が減ったと指摘している。
実際、各種統計によると、不要不急の外出が控えられたことで、女性の雇用を多く抱える宿泊サービス・飲食業や生活関連サービス・娯楽業の就業者数が大幅に減少している。