アクリルシート需要増、ニーズ多様化で化学メーカー開発急ぐ

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アクリルシートの需要はオフィスで急増した(三菱ケミカル提供)

新型コロナウイルスの流行が長期化する中、感染の原因になる飛沫(ひまつ)を防ぐ間仕切り用のアクリルシートの需要が急増している。ニーズも多様化しており、化学メーカーが開発を急ぐ。三菱ケミカルは今秋に抗ウイルス加工品を完成し、住友化学は抗菌加工品を2020年内に発売する。周囲の視線を遮る「マット調」の製品も好調だ。場面によってシートを使い分け、感染リスクの低い空間づくりが模索されている。(梶原洵子)

販売量2.5倍

最大手の三菱ケミカルは、4―6月の同シート販売量が前年同期比2・5倍に増加。同社は品ぞろえを増やし、多様な設置場所に対応を急ぐ。宴会場向けには、不要な時に収納しておいても傷つかない「表面硬化処理タイプ」を訴求。可動式の「衝立てタイプ」も用意する。現在「抗ウイルス剤加工タイプ」を開発中で、今秋の完成を目指す。付着したウイルスを不活化することで、表面を拭くなどの毎日行う清掃を簡単にする狙いだ。

特殊な用途では“蛾(が)の目”の構造をまねた反射防止フィルム「モスマイト」を表裏に貼り付けたアクリルシートがテレビ番組の収録に採用された。通常アクリルシートの表面は4―5%の光を反射し、周囲の像が映り込む。モスマイトは1ミリメートル角の表面に並ぶ1億個の極小突起が光の反射を抑えて、映り込みを防いでテレビ映りを良くする。

見た目重視

モスマイトを貼ったシートは、何もないように見えるほどの高い透明性を生かし、絵画の額装用途にも使われている。コロナ対応でも飛沫を防ぎつつ、見た目にこだわる新たな利用シーンの開拓を図る。

また、透明さが特徴のアクリルだが、今、透明でない製品の販売も伸びている。三菱ケミカルは「すりガラス調」、住友化学は同様に「マット調」を展開。「受付窓口や飲食店など、横から見られたくない場所で設置が増えている」(住友化学)。

住友化学もアクリルシートの販売が急増しており、4月は在庫を放出して販売量が通常月の1・8倍、5月はフル生産により同1・3倍となった。

透明でない製品が好調(左から乳白色タイプ、マット調、透明タイプ。住友化学提供)

冬場にらむ

同社は年内にもシートに抗菌剤を練り込んだ製品を発売し、品ぞろえを増やす。シートの設置期間が長くなれば、心配なのは新型コロナだけではない。抗菌効果が長持ちするように加工し、衛生状態を維持する狙い。

足元の需要は引き続き堅調で、米国では教室内にアクリルシートを設置する動きもあるという。「冬場にかけて需要は増える」(三菱ケミカル)とみて、供給量と品ぞろえ拡大の対応を進める。

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