再生エネ100%の電気利用で、小さくても踏み出す1歩を後押し

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社会課題解決ビジネスについて打ち合わせをする田口社長(左)

ボーダレス・ジャパン(東京都新宿区)は8月中旬、再生可能エネルギー由来の電気を発売する。新電力の自然電力(福岡市中央区)から仕入れた電気を、ボーダレス・ジャパンのブランド名「ハチドリ電力」で販売する。「取り次ぎ契約」と呼ばれる形態だが、仕入れる電気は実質的に再生エネ100%であり、二酸化炭素(CO2)排出ゼロのクリーンな電気だ。

ボーダレス・ジャパンは田口一成社長が2007年に設立した。すべての事業の目的を社会貢献とした同社の方針に共感した起業家が集まり、グループを形成。現在、13カ国で35社が社会課題解決ビジネスを展開する。19年度の売上高は54億円と、10年で30倍以上に成長した。

環境ビジネスも手がけるが、再生エネ事業は初めて。田口社長は「地球温暖化が喫緊の課題となったから」と理由を語る。気候変動による自然災害が多発しており、「大変なことが起きているのに、何もしない自分は傍観者と同じだ」と責任を感じ、ハチドリ電力を始めた。

起業ではなく、社内の新規事業としたのは「スピードを重視した」からだ。自然電力との取り次ぎ契約なら、すぐに事業化できる。また、電気の小売りだけでなく、自ら再生エネ発電所を建設している自然電力のビジョンにも共感した。

ボーダレス・ジャパンは再生エネ電気の販売で後発となるが、社会貢献で明確に差別化する。顧客に請求するのは会費の月500円と、電気の仕入れなどの実費のみ。利益を乗せて請求しないので、電力料金は明瞭だ。さらに料金の1%を社会貢献活動に取り組む民間非営利団体(NPO)の支援金に回す。顧客はハチドリ電力に申し込むと、毎月の電気料金の支払いで社会貢献活動を応援できる。NPOは安定した資金を得られるので、活動が活発になる。

さらにもう1%を再生エネ発電所を建設する基金に回す。田口社長は農地を借りて太陽光発電所を設置し、野菜栽培と発電事業を一緒にする「ソーラーシェアリング」を想定する。ハチドリ電力の顧客はNPOや再生エネの普及、農業を支援できる。

ハチドリ電力はくちばしに水を含んで運び、山火事を消そうとしたハチドリの物語にちなんで名付けた。「小さくても自分ができることをやる精神に感動した」(田口社長)という。無理なく社会貢献ができる仕組みが受け入れられ、ハチドリ電力への申し込みは350人を超えた。

日刊工業新聞2020年7月17日

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