新幹線チケット革命、JR東海が仕掛ける「逓減運賃」との決別

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チケットレス乗車拡大によるメリットは大きい(イメージ)

JR東海は東海道新幹線の予約・決済・乗車の“チケッティング”も進化させている。インターネットで指定席を購入し、ICカードをかざして改札を通過するチケットレス乗車の利用率は4割強に達した。顧客利便性の改善で競争力強化につなげるだけでなく、駅業務の生産性向上にも役立てている。さらに、リニア中央新幹線を見据えると、チケットレス化の加速は必須だ。

ネット予約・チケットレス会員は5月末で有料会員制「エクスプレス(EX)予約」が386万人、ライトユーザー向け「スマートEX」が380万人。

新幹線の利便性の一つ「乗りたい時に乗れる」(金子慎社長)を実現するのは運行頻度とともに、乗車直前まで列車を自由に変更できる予約環境があってこそだ。窓口や券売機でのきっぷ受け取りが不要なため、スムーズに改札を通過できる。

一方でチケットレス化には、駅設備やオペレーションの軽減効果もある。営業本部システム管理・運用グループの中野久司グループリーダーは「輸送量が伸びる中、駅の体制を変えずにできたのはEXのおかげ」と話す。

チケットレス乗車用商品は東海道・山陽新幹線の駅相互間を発着する乗車券と特急券一体型の特別企画乗車券だ。JR東海の運輸収入は、約4割がJR東日本とJR西日本の窓口販売などによるのが現状。チケットレス化で直販比率を高めることができ、従来のJR運賃・料金体系とは一線を画すことで、会社間精算も縮小できる。

また、リニアが品川―名古屋間で先行開業すると名古屋駅で乗り換え客が増える。このため「(開業時には)できる限りチケットレスにしたい」(金子社長)考えだ。完全チケットレスにできれば、駅設備を簡素化でき、JR他社との通算運賃や距離に応じた逓減運賃とも決別できる。

その前提としても、東海道新幹線でチケットレス化を急がなければならない。ICカード乗車システムは2017年のスマートEX導入を機に、改札でICに情報を書き込む方式から、ICのIDを読み取ってデータをセンターサーバーに照会する方式に変えた。

これを生かして、訪日外国人のQR(二次元バーコード)乗車などに対応していくほか「コンビニエンスストア払いなど決済の多様化や、2次交通・観光施設との連携なども勉強を始めている」(中野リーダー)という。東海道新幹線で取り組む“チケッティング革命”は、リニアの将来にもつながる。

(取材・小林広幸)

日刊工業新聞2020年7月3日

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