IHI運搬機械、AI活用で駐車設備の出庫待ちを3割短縮
IHI運搬機械(東京都中央区、桑田敦社長、03・5550・5321)は業界で初めて、人工知能(AI)で車両の最適な格納位置を計算し、出庫待ち時間を従来比3割程度短縮できる駐車設備を開発した。出庫後に自動で安全確認して扉を閉める機能も加え、6月末に発売する。国内は駐車場の収容台数が自動車保有台数を上回っている。設備各社は量から質へと転換するため、安全性や利便性を向上する技術の開発に力を注いでいる。
同駐車設備はマンションやビルに併設することが多く、タワー型の車庫にエレベーターで車両を格納する。
新機能はAIで入出庫データを学習し、出庫が集中する時間帯と利用者、頻度を分析。出庫しやすい棚を選んで車両を格納する。試算では平日朝に発生しやすい出庫のピーク時間を18分(7台待ち)から12分(5台待ち)に短縮できる。車庫が複数基ある場合は車両を別々の車庫に誘導し、利用を平準化する。
従来は設備入り口に近い棚から車を格納し入庫時間を短縮していたが、より利用が集中する出庫時間の短縮が課題となっていた。
安全面では扉の閉め忘れによるトラブルを防ぐため3次元レーザースキャナー(LiDAR)で設備内に人がいないか確認し出庫後に自動で扉を閉める。
新機能を搭載し、最上位機種「エレベータパーキング グランシリーズ」として6月末に発売する。高層マンション向けの80台収容可能な設備1基の想定価格は、従来機比約2割高い1億9000万円程度。初年度10基の販売を目指す。新機能は地下式などの駐車設備にも順次展開する。
新明和工業も自動で扉を閉める駐車設備を投入済み。両社は自動運転車両に対応する技術開発も進めており、駐車設備を将来の都市機能を支える社会インフラと位置づけ、先進機能の開発でしのぎを削っている。