画像認識は工場・倉庫の管理システムの「核」になる

活用広がる

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検品の速さは複数を一括して識別すれば画像認識がバーコードに勝る(NECの画像検品)
 工場や倉庫などで画像認識の活用が広がっている。ピッキングではバーコード読み取りと比べ精度や速度が劣っていたが、画像認識が入退管理や検品などへ広がり始めている。(文=小寺貴之)

一括して識別


 「大きな入出庫管理システムが稼働する。将来、画像認識とカラーバーコードの組み合わせが主流になる」とワム・システム・デザイン(大阪市浪速区)の上野潔代表取締役は自信を見せる。カメレオンコードというカラーバーコードを高速に識別して、倉庫などの入出庫管理システムを構築する。カメレオンコードは、撮影ができれば離れていても同時に多数のコードを読める。スマートフォンやタブレットの性能が向上してカメラや画像処理能力、通信などの問題が解決した。導入ハードルが急速に下がっている。

 NECは画像検品システムを提案する。画像検品はバーコードの読み取りと競合する。一つ一つの読み取りはバーコードの方が速いが、複数を一括して識別すれば画像認識が勝る。消費期限などの印字はOCR(文字認識)で読む。パッケージにコードを印字しにくい製品に向き、3社が導入した。NEC交通・物流ソリューション事業部の長岡秀和マネージャーは「画像検品をピッキングカートに載せることも可能。作業記録を画像として残すとトラブル時に証拠になる」と説明する。

自己位置を推定


 富士通ソフトウェアテクノロジーズ(横浜市港北区)は360度カメラの映像から自己位置を推定する技術を開発した。天井や壁に直径70センチメートル程度の三重丸のカラーマーカーを貼り画像認識する。映像に三つのマーカーが映りこんでいればカメラの位置を計算できる。誤差は30センチメートル未満。フォークリフトや搬送ロボなどの位置管理に提案し、12月ごろに商品化する予定だ。

 開発した淡島政紀氏は「マーカーは貼るだけで電源不要。物流大手は自動化設備が整っている。簡単に追加できる点が評価されている」としている。

 将来はこうした技術の統合が進むと期待される。搬送ロボや作業者が身につけたカメラ映像から棚の荷を識別したり、作業者の動線を記録して最適化したりする。一度カメラを配備するとソフトの開発で管理項目を追加でき、SaaS(サービスとしてのソフトウエア)に向く。画像認識を核にさまざまな管理システムがつながる可能性がある。

日刊工業新聞2019年9月25日

COMMENT

小寺貴之
編集局中小企業部
記者

 スマホに載る撮像素子はどんどん高性能・安価になるので、カメラ端末の価格も追随すると考えられます。1兆個ばらまくIoTセンサーとはいかないまでも、スマートビルや工場ではデジタルインフラとして環境に溶け込むと思います。技術的には360度カメラの自己位置推定は荷物の識別にも使えます。積んだ荷のラベルを読んでデータを吸い上げたり、荷を降ろした場所を記録したりと応用は広いです。現在はカメラは固定され、視野を通過する人や物を識別していますが、ウエアラブルカメラを用いれば作業員が歩くスキャナーになりえます。将来、空間に配置された固定カメラと作業員がもつ移動カメラを組み合わせて、在庫管理や作業改善、警備などの複数の管理システムに画像認識を使う日がくるかもしれません。  既に実装されている例では、ヘルメットにカラーコードを貼って入退ゲートにカメラを置けば従業員の入退管理ができます。シール式のタトゥーで身体にコードを貼れば、ヘルメットなどの取り違えは問題になりません。顔認証は顔写真を集める必要がありますが、初期はコード識別で入退管理して、ゲートを通過する度に写真を撮り、十分なデータが集まったら顔認証に切り替えればいいです。生体認証システムは、変更できない生体データが漏洩すると大問題になります。タトゥーはコードを更新でき、身体に刻めば本人のみを特定できるので、コード認識と生体認証の間をつなぐに仕組みとしては便利だと思います。

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