商品群を2割減らす日産、部品メーカーがこれまで経験したことのない改革プロセスへ

「車種を統廃合し1車種当たりの販売台数が増えればよい」

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年500万台規模の販売台数を維持するのは並大抵のことではない(日産公式資料より)

「打ち出している方向は分かるが、現実にどのように実行するのか」。日産自動車が5月に発表した2023年度までの中期経営計画について、同社と取引の多い部品メーカー幹部は改革のプロセスに強い関心を示す。

その一つが車種数の削減だ。日産の内田誠社長は23年度までに採算性の低い商品群を2割削減し「競争力の高いラインアップに切り替える」とした。車種によらず比較的共通の部品を扱うメーカーの幹部は「車種を統廃合し、1車種当たりの販売台数が増えればよい」と期待する。

一方、売れ行きが悪い車種を廃止すれば利益は上がるが、一定量の販売台数を失う。前述の部品メーカー幹部は「売れ筋の車種だけで生産能力に近い年500万台規模の販売台数を維持するのは並大抵のことではない」と実現性や進め方に注目する。

改革では連合を組む仏ルノーや三菱自動車との連携(アライアンス)も積極的に活用する。開発ではルノーが小型車、日産が中型車や電気自動車(EV)向けの車台を担当するなど役割を分担して効率化する。

こうした動きを前述の共通部品を扱うメーカー幹部は歓迎する。同社はルノーとの取引が多い別の部品メーカーと提携。仮にルノーが開発した車種を提携先が受注した場合、その車種を生産する完成車工場に近い部品メーカーの工場から供給する関係を構築する。同幹部は「車台ごとに担当の車メーカーが明確化され、生産台数が増えれば好機になる」ととらえる。

一方、冒頭の部品メーカー幹部は日本と欧州で技術や材料に違いがあるため、「同じ部品でも地域により一から開発しなければならない部品も多いのではないか」と指摘する。日産との取引も多い部品メーカーの首脳は、内装など主要車と姉妹車で部品が異なる場合の開発の進め方など「これまで経験したことがないので簡単にはいかない」と予想する。

また小型車の方が販売台数が多いなど車台ごとの不公平感も懸念され、日産との取引が多い別の部品メーカー首脳は「3社連合でしっかり決めごとをして、部品メーカーに的確な方針を出してほしい」と注文をつける。

こうした改革は関係者も多く進め方を巡り複雑な調整も予想され、経営陣には強いリーダーシップが求められる。その中核を担う内田社長について部品各社の幹部は「互いに忌憚(きたん)なくざっくばらんに話し合おうと言われている」「部品メーカーの声を素直に聞こうとしてくれている」など、同社長が購買部門を担当していた当時からの関係も踏まえてこう評価する。

また部品メーカーなど取引先からの信頼回復を明言する内田社長に期待する一方、「日産の経営陣や社内でそうした考えが浸透するのか」との声も漏れる。ある部品メーカー首脳は「お手並み拝見というつもりはなく、一緒にやっていかなければならない」と強調する。

日産の復活に貢献することで自らも成長し、異業種を含めた変革期を迎える自動車業界を生き抜こうと必死に模索を続ける。

売れ行きが悪い車種を廃止すれば利益は上がるが…(日産公式資料より)
(取材・西沢亮)

日刊工業新聞2020年6月9日

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