トヨタが万全の対策で株主総会開催、リアル対話へのこだわりを見せる
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、株主総会の延期やオンライン開催に踏み切る企業が相次ぐ中、トヨタ自動車とトヨタグループ各社は、感染防止対策を万全にした上で通常通り株主総会を実施する。株主のネットワーク環境などを考慮して、総会を株主と直接対話する機会として継続する。開催規模の縮小などの対策を取りつつ、世界的な危機下にあるからこそ“現地現物”のリアルの総会で対話を深めたい考えだ。(名古屋・政年佐貴恵)
トヨタグループ各社の株主総会は、豊田自動織機の9日を皮切りにトヨタが11日、デンソーが19日など相次いで開かれ、25日のジェイテクトで終了する。各社は例年行っている送迎バスの運行や工場見学といったイベントを中止した。さらに来場者向けの対策も万全を期す。マスクの着用を義務付けるほか、検温や消毒を実施。接触の可能性が高い土産物の配布も中止する。
会場内では座席の間隔を空けてソーシャルディスタンスを確保し、座席数を減らす。各社はリアル開催に向けて工夫をこらす。デンソーの場合、昨年1600人強だった出席者を、600人ほどまで減らす予定だという。トヨタ紡織は、質問者のエリアに飛沫(ひまつ)感染防止用の仕切りを設ける。ただ各社とも人数制限はしていない。例えば豊田合成は万が一、来場者が想定を超えた場合に備え別室の用意も検討している。ジェイテクトは新型コロナの影響で、会社統合して発足した2006年以来、初めて自社工場で株主総会を開く。
トヨタは会社側の出席者は原則、現地会場で登壇する。ただ、出席役員の数を例年より減らす方針。トヨタ紡織は一部の遠方の役員がオンラインで出席する予定だ。
新型コロナの感染が広がる中、延期やオンラインなど通常とは異なる開催方法も検討したが「年に1度、株主と経営側が対話する場を重視しており、通常通り開催するためにどうするか議論を尽くした」(デンソー)。「モビリティーカンパニー」への変革を加速しつつも、モノづくりをはじめとするリアルを大切にするトヨタやそのグループらしい総会のあり方を模索する。
トヨタを筆頭に、車部品で世界シェア2位のデンソーなどトヨタグループの株主総会は機関投資家はもちろん、一般株主の関心も高い。