ライトユーザーを狙え!スマホ乗り換え需要の争奪戦激化
携帯通信大手が、月額料金を抑えたい“ライトユーザー”向けの料金プランや端末購入キャンペーンを強化している。KDDI傘下のUQコミュニケーションズは6月から月2980円(消費税抜き)の新プランを開始。楽天モバイルは27日から通信契約とセットで名刺サイズの小型スマートフォン「楽天ミニ」を1円で販売するキャンペーンを始めた。国内携帯市場が成熟化する中、学生やスマホへ乗り換える高齢者などライトユーザーの獲得が、契約数増加のカギを握っているからだ。
UQコミュニケーションズが「UQモバイル」で6月に始める「スマホプランR」は月額2980円(消費税抜き)でデータ利用容量の上限は10ギガバイト(ギガは10億)。データ利用容量を超過しても最大毎秒1メガビット(メガは100万)で利用できる。
サブブランド
月額料金やデータ超過時の通信速度は、楽天モバイルの料金プラン「楽天アンリミット2・0」と同じだ。4月にKDDI回線とのローミング利用制限を緩和し、データ容量超過後の速度制限もアップグレードした楽天モバイルを意識した新プランと言える。
さらに、10月からはUQモバイルをKDDIのサブブランドとして統合する強化策を打ち出した。共同店舗を通じてヘビーユーザーにはソフトバンク、ライトユーザーにはワイモバイルを勧めることで契約数を伸ばしたソフトバンクの「マルチブランド戦略」を意識したとみられる。
ニーズ多様化
KDDIの高橋誠社長は「ユーザーのニーズは多様化している。複数のブランドでアプローチするのが自然な流れだ」と話す。ワイモバイルの契約数約500万に対し、UQモバイルは1月末時点で約200万にとどまる。KDDI(au)とUQモバイルの共同店舗を通じた一体的な販売活動で競争力を強化する。
こうしたKDDIの強化策に対し、楽天モバイルは通信契約とセットで小型スマホ「楽天ミニ」を1円で販売するキャンペーンを始めた。楽天ミニの定価は1万7000円(消費税抜き)だった。300万人を対象にした1年間プラン料金無料も続いており、1円で購入した小型スマホを1年間ほぼ無料で使える。
楽天モバイルは4月に自社回線による携帯通信事業に本格参入したが、契約者数は1年間プラン料金無料対象者の300万人に達していない。自社通信回線地域の狭さ、地下でのつながりにくさ、顧客サポート体制などの課題も残るが、「アンリミット3・0、4・0とどんどんバージョンアップする」(楽天の三木谷浩史会長兼社長)意向だ。
ドコモに注目
今後は、業界最大手のNTTドコモの強化策にも注目が集まる。19年6月に始めた料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の影響もあり20年3月期連結決算は営業減益だった。サブブランドを持たないドコモの“次の一手”次第でライトユーザー獲得合戦がさらに熱を帯びることになる。