ボルボのサブスク、コロナ禍で支持を集めるワケ
ボルボ・カー・ジャパン(東京都港区、リチャード・スナイダース社長、0120・922・662)が2019年にリニューアルした乗用車のサブスクリプション(定額課金)販売プラン「SMAVO(スマボ)」が好調だ。同プランは導入コストを抑えつつ、高い安全性を誇るボルボ車に気軽に乗れるのが特徴。シンプルなプラン設定や、専用システムによる迅速な販売方法が利用者の安心につながり、コロナ禍の中で支持を集めている。
ボルボ・カー・ジャパンは、17年に個人向けリースプラン「ブリッジスマボ」を導入した。一定条件で新型車の登録諸費用と車両本体価格1%の月額リース料で最長1年間利用できる仕組みだ。購入時の導入費を抑えられるメリットがある上、同プラン利用者の多くは契約終了後に最新の安全装備が付いたボルボ車に乗り換えることができた。
新プランは安全面の補償を手厚くした。加えて頭金や諸費用、契約期間中の自動車税などを含め車検以外の諸費用がかからないシンプルな価格設定にした。5年契約で3年間の契約縛りがある「スマボ3/5(さんごう)」と、3年契約で2年間の契約縛りがある「スマボ2/3(にいさん)」を選べる。
スマボ利用者の多くは残価を保証してくれる点を評価している。3年後の残価50%、5年後の同30%を同社と販売店が保証することで、利用者が乗り換える時の残価リスクを無くした。
【若い世代に支持】
販売においても専用システムを活用し、簡単に見積もりから申し込み、契約書作成までが迅速にできるようになった。新型コロナウイルス感染拡大というタイミングの中、商談成立まで時間を要しないことも、顧客から好意的に受け入れられている。
スマボを適用すれば価格が489万円(消費税込み)の中型セダン「S60」の場合、月額7万3810円(同)から利用できる。19年のプラン開始の段階では限られた車種のみの適用だったが、今年1月には対象車種を生産終了のワゴン「V40シリーズ」を除く扱う全ラインアップに拡大した。
同社によると、1月の新車販売の9%程度がスマボ契約だったという。スマボの契約者は40代以下が34%を占め、個人の契約率が70%以上になる。同社の既存リース商品に比べ個人契約比率が高く、特に若い世代の支持を集める。菊池正敏ファイナンス・プログラムマネージャーは「サブスクリプションに慣れている世代で、所有意識より利用意識が強い世代が多い」と分析する。
【低価格で利用】
さらに2月には同社の認定中古車「セレクト」を対象にしたサブスクリプション「セレクトスマボ」の適用範囲を緩和した。登録後18カ月以内、走行距離1万2000キロメートル以内の認定中古車をより低価格で利用できるようにした。さまざまなサブスクリプションのプランを用意することで、顧客が求めるカーライフに合わせて多様な選択肢を提供する。(取材・松崎裕)