東日本は4月だけで鉄道収入1000億円減、JR各社が資金流出の対応急ぐ

移動自粛で需要減続く

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新幹線も利用客が大幅に減少

JR7社の2020年3月期連結決算が出そろい、旅客6社の新型コロナウイルス感染症による減収影響が総額で2416億円となった。感染拡大を防ぐためとして2月以降、鉄道利用が大幅に減少し、駅周辺で手がける関連事業にも影響が波及した。巨大装置産業の鉄道は、固定費型ビジネスモデルであり、需要急減は財務基盤を直撃している。費用圧縮効果は限定的で、当面は資金流出に備えた手元流動性確保が課題となる。(小林広幸)

20年3月期の業績は旅客6社が前期比で減収営業減益または営業損失が拡大。5月の10連休は好調だったものの、全国的に計画運休を実施した台風の影響に加え、新型コロナの移動自粛が大きく響いた。一方、JR貨物は運賃引き上げ効果と18年の西日本豪雨による長期不通からの反動増で、前期に比べて増収営業増益だった。

新型コロナの鉄道減収影響は旅客6社で総額1825億円。「モビリティー企業にとって、列車に乗ることを避けるべきだと言うのは根源が保たれていない」(赤石良治JR東日本常務)と嘆く。

21年3月期の業績予想は全社が、収束時期が見通せないとして示さなかった。足元の環境は依然厳しく、4月7日の緊急事態宣言発令後の移動需要は、さらに激減。鉄道は駅、線路、電力設備、車両が一体で機能するインフラで固定費が重い。新幹線・在来線特急の間引き運転や一時帰休の実施、投資の先送りといった対策も、経費節減効果は限られる。

現預金の手厚いJR東海を除き、当分、資金流出が続くと覚悟して、4月以降も手元流動性確保に取り組んでいる。JR東は社債1250億円とコマーシャルペーパー(CP)900億円を発行し、さらなる調達も視野に入れる。JR西日本はCP400億円と380億円の借り入れに加え、社債1900億円を発行し、1300億円ある融資枠やCP限度枠の拡大を調整中。JR九州は600億円程度の借り入れと300億円程度の社債発行を計画し、1200億円の新規融資枠設定やCP発行を見据える。

「4月で鉄道関係1000億円の減収」(深沢祐二JR東社長)と明かすように、新幹線や大都市圏を抱える本州3社の資金流出は多額となる見通しだ。他方、もともと財務基盤の脆弱(ぜいじゃく)なJR四国やJR北海道は、深刻な危機にひんしているとも言える。収入激減の長期化に対応するための資金調達は喫緊の課題。しかし、負債として背負うことになると、直面する経営再建の過程では足かせとなる可能性もある。

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