「天気痛」を予報する!ウェザーニューズ、気象情報に付加価値
スマートフォン向け気象情報アプリケーション(応用ソフト)「ウェザーニュース」の運営などを手がけるウェザーニューズは、医療分野と連携した新たなサービスに乗り出している。同アプリでは、これまで気象情報と合わせて花粉の飛散レベルや、桜の開花状況といった情報を紹介してきた。そこに新たな付加価値として「天気痛予報」が加えられた。
天気痛は天気の変化によって起きる頭痛や目まいなどの症状を指す。個人差はあるものの、症状に悩まされる人は多いという。天気痛予報では気圧の微小な変化など、さまざまな気象データを活用。これにより6日先までの天気痛の発症リスクを予報する。
天気痛予報の開発にあたっては、中部大学生命健康科学部教授などを務める佐藤純医師が協力した。ウェザーニュースアプリの利用者約15万人からデータを収集するなどして、天気と頭痛など症状の因果関係を見える化。約2年かけて完成させた。
天気痛のレベルは地域ごとに「警戒」や「安心」など4段階で表示される。天気通予報のほか、3時間ごとの予測も確認できるため、「頭痛薬などの準備や飲むタイミングなどの参考にもなる」(ウェザーニューズの石橋知博執行役員)としている。
日本国内にいる天気痛の該当人口は数百万人規模に上ると言われている一方、まだ社会的な認知度は低い。石橋執行役員は「天気痛予報として可視化することで、天気痛による体調不良の理解促進に期待したい」と強調する。
同社は現在もアプリ利用者からの症状報告などデータ収集を行っており、天気痛予報の精度向上を目指していく。こうした取り組みにより、将来は個人レベルでの天気痛予報の事業展開も視野に入れている。(千葉・前田健斗)
日刊工業新聞2020年5月15日