これだけ需要が増えてもUber Eatsは赤字、シェアリングに立ちはだかる「清潔感」

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コロナ禍でライドシェアや民泊など外出を伴う「シェアリングエコノミー」が曲がり角を迎えている。ウイルスと共生する時代になり、消費者の嗜好そのものが変わる可能性があるからだ。新型コロナウイルスの影響から完全に立ち直れるかどうか、どのくらいの期間を要するかは、人々が衛生意識をこれまで以上に重視するか否かにかかっているといっても過言ではないのかもしれない。

3月、各国の政府が外出を禁止したり、控えるように促したりしたことが、シェアリングエコノミーの代表格であるライドシェアを直撃した。16日に米サンフランシスコのベイエリア地区で外出を禁じる命令が出され、同地区を主戦場とするウーバー・テクノロジーズ、リフトの2社の株価は急落。リフトは18日に株価は年初の3分の1に、ウーバーも半値に下がり、それぞれ年初来安値となった。リフトと違い、ウーバーには料理宅配部門のウーバーイーツがあり、こちらは需要増となったがウーバーにとって同部門は最大の赤字部門。全体の採算性を押し上げるまでには至らないだろう。

もう一つの代表格である民泊も人の移動が制限されたことで、世界各都市で利用が激減している。エアビーアンドビーは海外報道によるとパンデミックで数億ドルの損失を被ったという。人の移動が制限されたことで、今年の売上高は、昨年の半分を下回る見通しで、5月に全世界の約7500人の従業員のうち25%の人員を削減すると明らかにした。2020年の株式上場を計画していた同社にとって大きな逆風が吹いている。

5月半ば以降、各国で外出制限が緩和に向かい、経済活動が回り出すが、問題は消費者の意識だ。特にシェアリングエコノミーは他者とのモノやコトの共有が大原則。ウイルスと共生する前提に立てば、他人とのシェアは衛生面ではマイナスに働く。ライフスタイルの転換と合理性で支持を集めていた新興企業に、衛生意識の高まりという思いもよらぬ敵が立ち塞がる。

とはいえ、今後の経済活動で、人との接触を避けるために、利用者が多い場所を避けようとする消費者もいれば、清潔感をそれ以上に重視する消費者もいる。旅行に行くとなれば、前者は民泊を使い、後者はホテルを使うのかもしれない。現時点では、消費行動としてどちらに軍配が上がるかが判断しがたい。これまで幾度とあった危機のあとに人の行動が抜本的に変わったとはいえないことを多くの人は知っているはずだ。

ニッセイ基礎研究所の久我 尚子主任研究員はレポート「新型コロナで増えた消費、減った消費」の中で、シェアリングサービスについて言及している。配達系サービスや英会話やヨガなどレクチャー形式でオンライン切り替えが可能なサービスの需要増を指摘しながら、「他のサービスは厳しい状況にあるだろう。非接触志向の高まりによって、今、他人と何かをシェアすることへの抵抗を感じる消費者は多いと考える」としている。

ニュースイッチオリジナル

COMMENT

栗下直也
デジタルメディア局
編集委員

ウイズコロナ、アフターコロナで人々の行動は変わるという言説を多くみるようになりましたが、消費行動は果たしてどうなるのか。一時的に接触型、リアルでのシェア型のサービスが避けられるのは間違いないでしょう。ただ、人間は忘れやすい生き物でそもそも面倒くさいことが嫌いという前提に立つと、しばらくしたら民泊もライドシェアも需要は戻るのではないでしょうか。果たしてどうなるか継続的にウオッチしたいです。

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