「新しい生活様式」需要はどこに?在宅勤務・美容・睡眠などで関心高く
新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした緊急事態宣言が5月31日まで延長されることが決まり、政府の専門家会議では実践すべき「新しい生活様式」などが提示された。引き続き外出自粛が求められる中、どう「巣ごもり」を充実させるかは消費者の関心事だ。プライベート、仕事の双方の拠点となる家での快適を求める消費トレンドが勢いを増しそう。「仕事環境」「美容」「睡眠」をテーマに関連商品や消費動向を探った。
企業が在宅勤務にかじを切り、初めて自宅でテレワークに臨む会社員は多い。自宅の仕事環境を整える消費が活発化する。
ニトリホールディングス(HD)はワークチェアや大人用デスクの販売が好調だ。また「仕事効率化は整理整頓から」とばかりに「ユーザー自身で組み立てる簡易収納用品の販売数が増えている」(同社)という。収納用品の特設売り場を例年より長い期間展開して需要を取り込む。
パソコン関連製品の需要も活発だ。LGエレクトロニクス・ジャパン(東京都中央区)は、3月上旬からモニター販売が大幅に伸びる。画面が通常より横長の「ウルトラワイドモニター」が人気。専用ソフトを使うと簡単に画面を分割でき、作業効率化に役立つ。
UQコミュニケーションズ(東京都港区)は、高速通信サービス「WiMAX(ワイマックス)」関連製品でテレワーク需要に応える。近距離無線通信「Wi―Fi」環境を構築できるホームルーター「WiMAX HOME 02」は、「法人の問い合わせが増えている」(同社広報担当者)。内部アンテナの性能を高め、従来製品比で電波エリアを最大約25%広げており、宅内で電波のつながる場所が広がる効果が期待できる。
資生堂は、消費者の外出自粛を受け自社サイトに「いまだから大切にしたい、毎日のこと」と題した美容情報コンテンツを掲載する。美容行為を図や動画でわかりやすく紹介する。同社広報担当者は「家にあるモノでできる美容行為で自粛生活の気分転換を図ってほしい」と話す。
焦点を当てた一つがフェースマッサージだ。現状では日常的に行う人は一部に留まっている。資生堂は巣ごもりを契機にメリットを伝えたい意向で、専用クリームをPRする。保湿クリームで代用することもできるが、家でのぜいたくとして専用クリームが存在感を高める余地はある。
男性用化粧品を販売するバルクオム(東京都港区)は、男性のスキンケア意識向上を狙う。自社ブランド「バルクオム」のフェースマスクを提案する。美容液がしみこんだフェースマスクは、女性には定番の美肌アイテムだが、男性で使用習慣がある人は少ない。ひげそりのダメージを受けやすい顎全体をしっかりカバーするなど男性向けに工夫した。広報担当者は「長時間のマスク使用で肌の荒れを感じている人は多い。保湿の心地よさを体感してもらえば、化粧水など日々使う製品の購買につながるのでは」と期待する。
睡眠をどう快適にするかにも注目が集まる。「2月以降、除菌機能のある寝具の引き合いが約2倍に伸びている」とフランスベッドの担当者は説明する。同社が販売する寝具ブランド「キュリエスAg(エージー)」は、細菌の繁殖を抑える素材を採用したマットレスや枕カバーを展開。ウイルスには作用しないが、「感染対策で清潔志向が高まっているのでは」と同社は推測する。
一方、最近は姿勢に着目し快適性を高めるのが寝具のトレンドの一つ。フランスベッドの「スノーレスピロー」は頭から首、肩にかけての密着性を高めるよう形状を工夫。肩や腕への負担が少ない形で横向きに寝られるようにし、いびきをかきにくくした。また寝転びながらスマートフォンを操作しても腕が疲れにくいという。
パラマウントベッドが展開する寝具ブランド「アクティブスリープ」は、背中や足元の角度を変えて理想的な姿勢で入眠できるのが特徴の一つ。睡眠の質を上げて心身を休め、免疫力を高めれば、仕事と遊びの充実につながりそうだ。