心に直接訴えかける!色を効果的に使うには?

続・色が変えるビジネス #1 日本流行色協会

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商品のイメージを伝えたり、印象づけたりするために必要不可欠な色。しかし「色を考える」といっても、「赤」「青」というような単純なものではない。どのようなターゲットに向けて、どういった気持ちにしたいか、といった計画をしっかりと立てることが成功につながる。(取材・昆梓紗)

色が心理的に与えるもの

デザイナーやカラーデザイナーが商品のイメージを伝える色を考えるとき、赤、青などのいわゆる「色相」だけではなく、「色調」も同時に考えている。「色調」は淡い、鮮やかなどの「雰囲気」のようなものだ。

感情に対して影響力があるのは色調。例えば淡い調子のスポーツウエアと、鮮やかなものでは使う場所や用途が異なってくるだろう。赤や青などは、より具体的なものを連想させてしまうことがある。より心理に影響を与えるには色調を考えることが必要になる。
 色調が心理的に与える影響は、調査によって明らかになってきている。社会や文化の差はあれ、色調が心理に与える影響はそこまで差はないと考えられている。
商品を企画し、それが誰に向けたもので、どういった場面に使われるかを考えた結果で、色は決まってくる。

チョコレートに深緑、ヨーグルトに赤

色を戦略的に使用している例として、明治の「明治 ザ・チョコレート」がある。チョコレート文化の発展への提案として「Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)」をコンセプトとしたことから、クラフト感のあるパッケージにした。また、カカオポットのデザインを加え、新しさを表現した。
 明治ではそれ以前にも「チョコレート効果」というチョコレートと健康を考えた商品を展開していた。これも今までチョコレート菓子にはあまり使われてこなかった深緑色をパッケージに採用。高級感や落ち着き、大人っぽさを演出することに成功した。

もう一つ、明治で色を効果的に使っている商品としてヨーグルトがある。一際目立つ赤を採用した「明治プロピオヨーグルト R-1」。これに続いて青を使った「明治プロビオヨーグルトLG21」や黄色の「明治プロビオヨーグルト PA-3」を展開。これらの強い色調はやや人工的ではあるが、体に効くというイメージを与える。
 「『白ベースのパッケージが多いヨーグルト製品の中で赤はどうなのか』という議論が社内であったそうですが、だからこそやる、という判断で大成功した例。ただ単に強い色だけでは悪目立ちしてしまう。色と文字の範囲のバランスや、色調も計算されている」(日本流行色協会ジェネラルマネージャーの大澤かほる氏)。

明治の商品例

また印象的な色展開をしているのがエース(東京都渋谷区)のスーツケース「Proteca」だ。暗色やメタリックな色が多いイメージのスーツケースにピンクやブルー、白などを取り入れた。プロモーションもカラーで見せるような展開をしている。「女性がスーツケースを扱うことが増えたことも、カラーバリエーションに影響を及ぼしているのではないか」(大澤氏)。

「PROTECA(プロテカ)」のスーツケースシリーズ「cocona(ココナ)」

「動きのある色」が増える?

今後、動画でのプロモーションや表現が広がっていくに従い、色表現も「動きのあるようなもの」が注目されている。例えば見る角度によって色が変わって見えるようなものや、動きに応じて変わるようなものは、動画に乗せた時にインパクトがでる。また、液体にインクを垂らした時のような滲んだ表現や、流動的な表現などがさまざまな業界で試されるようになってきている。

「またスマートデバイスが増えてくると、逆に刺繍や民族的なものなど、手技を感じさせるようデザインが増えてくるのではないか」と大澤氏は話す。
 例えばスマート化が進む車では、グレーが混ざったような濁った色が多かった。スマートというと金属っぽいものや、鋭い青などがイメージされるが、落ち着きや自然さが求められている証拠。実際に植物を見ていくと、葉っぱなどグレーがかっているものが多い。

グレーが印象的な「MAZDA 3 FASTBACK」

ブランドイメージと色

商品を企画する際、デザインとともに「色彩計画」も立てられるが、最近では色が商品設計の最初の段階で決められることが多くなってきた。なぜなら色は最終的に消費者に直接響くもの。ターゲットが明確になると、色が決まってくる。
 色彩計画は一度立てれば終わりではなく、どう変化させていくかも重要だ。シリーズであっても次の商品を出す際には変化を見せて目を引く、逆に色を絞る、などの展開を考えていく必要がある。

また新たな色彩計画には、ブランドのイメージを保持するべきか、思いきって崩すべきかも関わってくる。「ブランドイメージとカラーは強く結びついている」(大澤氏)。
 一度新たな色彩計画を立てたら、商品だけでなく宣伝など、顧客の手に渡るまで色を伝え続けること。気弱になり中途半端になってしまっては失敗しかねない。
 「これからの時代の色彩戦略は、ぜひ勇気をもって前例のないような新しい挑戦をしていってほしい」(大澤氏)。

【特集】続・色が変えるビジネス
 色は人心理に直感的にイメージを与える存在だ。どのような色が、社会でどのように使われているか、そして、その移り変わりを見ていくと、私たちの心理の移り変わりも見えてくるのかもしれない。 【特集】色が変えるビジネス はこちらから。

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COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

プレゼン資料の表紙、勝負服の色など、デザイナーでなくても「色をどう使うか」を考える機会は多いと思います。 どのような効果を与えたいかをまず考えてみることは、色以外の戦略であっても必要なことです。

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