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後継者がいない中小企業の「第三者」承継に補助金新設、コロナで加速か

中小企業庁、500―600件の採択を想定

経済産業省・中小企業庁は、後継者がいない事業者の経営資源の引き継ぎや事業再編を後押しする。新型コロナウイルスの影響下にある中小企業の事業承継を推進するため、第三者承継の負担を軽減する新たな補助金を設けるほか、事業引継ぎ支援センターの人員を50人程度増やす。雇用や技術を次世代へ引き継ぎ、地域のサプライチェーン(供給網)の維持を図る。

士業など専門家の活用にかかる費用を補助する「経営資源引継ぎ補助金」を新設する。既存の事業承継補助金は承継後の新しい挑戦を支援する補助金だが、新型コロナの影響下では新たな挑戦が難しい企業もあるため、経営資源引継ぎ補助金には経営革新など新たな取り組みの要件はない。500―600件の採択を想定する。

買い手に対しては、仲介手数料やデューデリジェンス(投資先の価値やリスクの調査)など専門家への報酬にかかる費用を最大200万円補助する。売り手の補助上限額は650万円で、専門家への報酬に加えて既存事業の廃業費用も補助する。ともに補助率は3分の2。買い手のみ、売り手のみの申請も可能だ。

全国48の事業引継ぎ支援センターは、新型コロナの影響を踏まえて支援体制を強化する。新型コロナにより、相談に行くのが難しい後継者不在の中小企業や譲受希望の企業に出張するなど「プッシュ型」の第三者承継の支援を行っていく。

日刊工業新聞2020年4月30日

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