【新型コロナ】3Dプリンターでフェースシールド生産相次ぐ、中小企業が総力結集

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眼鏡をかけたままでも装着しやすい金属技研のフェースシールド

阪大院、公開データで後押し

新型コロナウイルス感染症の治療に当たる医療機関をサポートしようと中堅・中小企業が続々と、フェースシールドの生産に乗り出している。大阪大学大学院医学系研究科の中島清一特任教授が眼鏡フレームメーカーのシャルマン(福井県鯖江市)と協力し、クリアファイルと組み合わせるフレームを開発、その設計データを3Dプリンター向けに公開したことも後押ししている。医療危機を救おうとする企業の活動が広がりを見せている。

長野県須坂市の異業種組織であるイノベートSUZAKA(長野県須坂市、藤沢暁浩会長=倭技術研究所社長、026・248・9033)は、阪大院が公開したデータを基に3Dプリンターを使ってフェースシールドを製作した。医療資材不足が続く医療機関などに無償提供する。ポリ乳酸などの樹脂を素材に3Dプリンターでつくったフレームに、市販の高透明クリアホルダーを差し込む。代用品ながら、飛沫(ひまつ)感染のリスクを減らせるという。

イノベートSUZAKAが生産を始めた簡易型フェースシールド

3Dプリンターを保有するナツバタ製作所(須坂市)、新井製作所(同)など会員4社合計で1日当たり最大40個を製作。県内の医療機関を中心に要望があれば組織を問わず可能な限り提供する。東大阪市医工連携研究会の登録企業などにサンプル提供したのに続き、長野県内の医療機関に30個提供した。

金属技研(東京都中野区、長谷川数彦社長、03・5365・3050)も、市販のクリアファイルを使用してフェースシールドを3Dプリンターで製作し、5月初旬から医療機関など向けに無償で提供する。阪大院の公開データを基に、フィット感を高めるようにアレンジ。眼鏡をかけたままで装着しやすいよう設計を工夫した。製造データは公開し、自由にダウンロード可能にする。

アトラス(相模原市中央区、青木孝夫社長、042・777・3777)もフェースシールドを試作した。3Dプリンターのベンチャー企業、米カーボン(カリフォルニア州)が無償提供する設計データを活用し光造形方式3Dプリンターで固定具のブラケットを製作。ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のシールド部分は、サニー工業(相模原市中央区)に依頼した。医療機関や企業からの要望があれば、生産を受注する。月産数千個単位なら対応できる。アトラスは「感染症対策の器具が不足する中、少しでも貢献できれば」(若林祐次取締役)としている。

サンエイ(群馬県大泉町、中西聡之社長、0276・63・3611)は、簡易型フェースシールドを開発した。顔を覆う部材に耐衝撃性などに優れるポリカーボネート樹脂を採用。湾曲させた厚さ0・5ミリメートルのポリカーボネート樹脂をゴムバンドで装着する。

周辺地域の介護施設に50枚の試作品を納入しており、利用者の意見を踏まえて改善点を探る。5月上旬をめどに供給体制を整える計画で、10枚1セットを7150円(消費税込み)で販売する。中西社長は「スーパーでの棚卸し作業時にも利用してもらえるのではないか」と話している。

東京都が、マスクやアルコール消毒液といった感染症対策商品の製造に必要な設備投資を助成するなど、行政による中小企業への支援策も出始めた。中堅・中小企業による同分野への参画が今後も広がりそうだ。


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