移動シェアリングに地殻変動?「自動車」は値下げ、「自転車」は新規会員登録増える

  • 0
  • 1

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「3密」回避が重要になる中、人の移動手段に変化の兆しが出てきた。外出自粛で移動需要そのものは減少しているが、公共交通機関を避ける目的で、自動車や自転車のシェアリングサービスで新たな需要が現れてきた。通勤用途と見られる2輪車購入も目立つ。新型コロナ問題は、多様なモビリティー社会の実現のための一つの契機になる可能性を秘める。

外出自粛のあおりを受け、カーシェアは観光やショッピングでの利用は減少傾向にある。その一方、新たな使われ方が出てきた。パーク24はカーシェアで、18時―翌9時のプランの料金を通常2640円からの設定を引き下げ、一律480円とするキャンペーン(8月1日まで)を打ち出し利用が伸びた。担当者は「出勤しなければいけないが、密のリスクのある通勤電車は避けたいという利用者からも注目されたのではないか」という。

都市部などでの短距離移動に便利な自転車のシェアリング。NTTドコモ傘下のドコモ・バイクシェア(東京都港区)が展開するサービスは足元で、外出自粛の影響を受けてか利用回数は減少傾向にある。そうした中、注目されるのは、1―20日の1日当たりの新規会員登録者数が、3月と比べて約20%増えた点。「新しい需要が生まれたと推測している」(NTTドコモ広報)としており、外回り営業や宅配サービスでの利用が増えた可能性がある。

3密を回避できる2輪車の販売が伸びている。日本自動車工業会によると3月の国内出荷台数は前年同月比7・3%増の3万6847台で、3年ぶりのプラスだった。通勤の足として利用者は少なくないとみられる。

自転車の需要増にも期待がかかる。電動アシスト自転車で国内市場シェア4割のパナソニックは、ショッピングモールなどが休業する中、足元でも堅調な販売を維持する。大和証券グループ本社が自転車通勤を認め駐輪場の費用を負担するなど企業の支援も目立ってきた。

都市交通が専門の石田東生筑波大学名誉教授は「(3密回避のため)カーシェアなど比較的新しい交通手段を選択する消費者が増えている傾向はあるようだ。感染を抑えながら移動するという課題の解決に多様なモビリティーが役立ったといえる」と評価し、「引き続きその有用性を訴えていくことが、コロナ問題後に多様なモビリティー社会を実現するうえで重要になる」と指摘する。

日刊工業新聞2020年4月27日

関連する記事はこちら

特集