【新型コロナ】中小企業を救うには「永久劣後ローン」が必要だ

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立教大学名誉教授で中小企業支援組織「スモールサン」を主宰する山口義行氏

新型コロナウイルス感染症対策として、政府は民間金融機関による最長5年間返済を据え置く実質無利子融資を盛り込んでいる。これに対し金融業界関係者や学者から、返済の優先順位が低い「永久劣後ローン」の実施を求める声があがる。立教大学名誉教授で中小企業支援組織「スモールサン」を主宰する山口義行氏に、提言内容について聞いた。(聞き手=編集委員・宮里秀司)

―足元の中小企業の状況をどう見ますか。
「経済活動の自粛により事業の存続が危ぶまれ、このような状況ではM&A(合併・買収)により会社を売ろうにも、相当買いたたかれてしまう。中小企業経営者の心が折れかかっている」

―永久劣後ローンとはどんなものですか。
「無利子で借りても5年後に返済が始まるならば、借りる勇気が出ないという企業は多い。そこで疑似資本の役割を果たす資金を中小企業に注入する仕組みを提案している。『永久劣後』というのは、利子だけを払っていれば元本は返さなくてよい借金という意味。もちろん金利を払い続けたくない企業は、元本の返済時期を自分で選べるようにすればよい」

―ローンの枠組みについては。
「『永久劣後ローンによって中小企業に資本注入する』という施策を最初に提唱されたのは、三井住友信託銀行名誉顧問の高橋温氏だ。金融機関は金利を当面ゼロで融資実行し、経済が正常に戻ったら少しずつ金利を引き上げていけばよい。私は金融機関のローン債権を、政府と日銀の共同出資により設立する『買取機構』が買い上げられるようにすることを提案している」

―元本を返さなくてもよいなら、モラルハザード(倫理の欠如)を招く恐れはありませんか。
「対象者は金融機関が日頃から付き合いのある信頼のおける中小企業とし、金融機関にしっかりモニタリング(監視)をさせればよい。よく『ゾンビ企業』を生きながらえさせていいのかという声を聞くが、逆に健全な企業までつぶしてしまってよいのかと言いたい。今回は普通の経済危機ではない。20年、30年という時間軸で対応する必要がある」

日刊工業新聞2020年4月24日

キーワード
中小企業 新型コロナ

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