【新型コロナ】航空会社は営業赤字…運輸業界の大打撃どこまで

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新型コロナウイルス予防対策でマスクを装着する空港スタッフと搭乗客(羽田空港国際線出発ロビー)

新型コロナウイルス感染症の拡大による移動需要の減退が、運輸各社の経営に大きな打撃を与えている。特に航空や鉄道は、固定費型のビジネスモデルであり、安定した移動需要に支えられてこそネットワークの維持が実現できる。利用の急激な落ち込みによる利益の喪失は、長引けば企業の持続可能性にもかかる問題となる。27日から本格化する2020年3月期決算発表を前に、各社の“コロナ影響”をまとめた。(取材・小林広幸)

営業赤字

ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は、すでにコロナ影響を織り込んだ20年3月期の業績見通しを公表した。見通し値から19年4―12月期の実績値を差し引いて20年1―3月期分を試算してみると、ともに売上高が前年同期比2割強減って、営業損益が赤字に転落していることが分かる。

足元の運航状況は3月までと比べて、さらに悪化した。両社は国際線は9割超、国内線は6割超を減便中だ。航空券は価格の安い早期に予約、購入する利用者が多い。大型連休期間の旅行自粛や減便を受けて、無償払い戻し対応も見込まれる。

航空各社が加盟する定期航空協会は3月、加盟社の2―4月の減収が約3000億円になる見通しを示した。年間では2兆円規模になる可能性もあるという。21年3月期は、収束時期が見えず“止血策”が限られる中、どこまで財務が耐えられるかが問われそうだ。

新幹線24%減

一方、鉄道も2月以降に加速した移動需要の消失が業績を押し下げる。JR東日本は2―3月の定期外運輸収入がコロナ影響で730億円の減収だった。鉄道は航空とは違い、需要の急減に対応して即座に運行を減らすことが難しい。減便したとしても、費用の圧縮効果は極めて薄い。

JR東海は減収規模を明らかにしていないが、主力とする東海道新幹線の1―3月輸送量は、前年同期比24%減と開示している。これを元に新幹線の運輸収入について、減少分を試算すると約740億円と推定できる。

JR西日本も減収額を公表していない。北陸・山陽新幹線の1―3月輸送量が前年同期比24%減であることから、新幹線運輸収入の減少を約260億円と推算する。また近畿圏の1―3月輸送量同13%減から算出すると、近畿圏運輸収入の減少分は約100億円だ。

臨時列車運休

鉄道各社は4月に入ってからの利用が著しく落ちている。テレワークや臨時休校による定期収入の減少、休日の外出自粛や出張控えなどによる定期外の減収。大型連休のレジャー需要も見込めなくなっており、ようやく臨時列車の運休などで需要対応にも着手した。

仮に、早期に感染拡大が収束に向かったとしても移動需要が急回復するシナリオは想定しにくい。業績へのマイナス影響は、当面継続する見込みだ。各社は将来の人口減少などを想定して、各種オペレーションの生産性改善や輸送力の最適化などに取り組んできた。移動をとりまく社会環境の変化に対応して、需要減に備えた取り組みを加速しない限り、利益の創出が難しい状況に陥ることになる。

日刊工業新聞2020年4月27日

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航空 新型コロナ

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