阪大が新型コロナのワクチン開発に着手!将来の感染症対策の枠組みになるか

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感染症ワクチンの創生に向けて若手研究者の支援を拡充する

新型コロナワクチン開発着手

阪大微生物病研究会(BIKEN財団、大阪府吹田市)は、大阪大学微生物病研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研、大阪府茨木市)と新型コロナウイルス感染症のワクチンならびに検査技術の開発に着手した。3者の知見を結集し、将来の新興感染症を予防・制御するプラットフォーム(基盤)形成に期待がかかる。山西弘一理事長に今後の戦略を聞いた。(大阪・中野恵美子)

―新たなワクチン開発に強みをどのように発揮しますか。

「多くのワクチンを開発し、商業生産・供給してきた実績を持つBIKEN財団にとって新たなワクチン開発は使命と捉えている。微生物病研究所はワクチンの種を見いだす基礎研究、医薬健栄研はワクチンの効能や副作用の検証を行い、当財団はワクチンに仕上げるところから供給までを担う。3者連合で情報収集、基礎研究から応用まで一貫し、将来の感染症に対応できる枠組みを築く」

―実用化までの道筋を教えて下さい。

「研究からワクチンの原型を開発して、商用化するまでには最短でも4―5年はかかるとみている。治験までの申請・承認作業に一定期間要するほか、治験のための設備投資や、流行時期に合わせた効果の検証を進めなくてはならない。開発品が治験に至らないことも少なくないが、当財団が資金的サポートを含めて音頭を取り、早期実用化にこぎつけたい」

―基礎研究をどう活性化させますか。

「2019年9月から新規感染症予防ワクチンの創生につながるテーマについて、全国のアカデミアから広く募集を始めた。また4月から若い研究者を支援する『谷口奨学金制度』の対象者を拡大した。これまでは微生物病研究所の研究員が対象だったが、国内で微生物病学を専攻する大学院博士課程に門戸を広げた。月8万円の支給を生かし、研究活動を充実させてほしい」

―ワクチン製造のBIKEN(香川県観音寺)を通じ、生産体制の拡充を図ります。

「共同出資会社の田辺三菱製薬から医薬品のコンプライアンスなどに関する知見を得ながらワクチンの供給能力を上げる。設備投資とともに、開発品について商業生産に向けてスケールアップする技術を高め、必要なワクチンを早く届けたい」

【チェックポイント/学内外の研究者も支援】

BIKEN財団はワクチン開発・生産、さらに臨床検査において長年ノウハウを培ってきた。新型コロナに加え、それに次ぐ感染症を防ぐためのワクチンや治療薬の早期実用化に向け、カギとなるのは人材の育成だ。そのため学内外の研究者にも支援の裾野を広げ、「基礎研究をレベルアップする」(山西理事長)としている。BIKENでのワクチン製造・供給までを網羅する基盤構築を急ぐ。

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