阪大発ベンチャー「アンジェス」コロナ対策のワクチン開発に着手
大阪大学発の製薬ベンチャー「アンジェス」は5日、新型コロナウイルスの感染を予防するワクチンの開発を始めたと発表した(写真)。同大学と共同でデオキシリボ核酸(DNA)ワクチンの開発を目指す。早ければ6カ月程度で、人で安全性や有効性を確認する臨床試験に入れる見込みだ。ワクチン製造はタカラバイオが担う。
新型コロナウイルスの表面には突起状の「スパイクたんぱく質」が発現している。同たんぱく質を組み込んだDNAワクチンを投与することで、体が同たんぱく質を抗原として認識する。体内に抗体がつくられることで、感染や重症化を抑制する効果が期待できるという。
DNAワクチンは病原体を一切使用しないことから、安全で短期間の開発が可能だ。一般的なワクチンは鶏卵でウイルスを増やし、ウイルス分離からワクチン製造まで5―8カ月かかる。今回の手法では、これを6―8週に短縮できる。
同日会見した大阪大学大学院の森下竜一教授は「新型コロナウイルスには多くの国民が不安を持っている。早急に治療法と予防法を提供できるのではないか」と述べた。
日刊工業新聞3月6日