コスト上場に新型コロナ…それでも中国から逃れられない自動車部品メーカーの清濁

販売減も成長市場に魅力

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中国市場は依然魅力的(21年度に新ラインを建設する日本ピストンリングの工場)

【不確実性増す】

自動車部品各社は完成車メーカーの海外進出に合わせ、現地生産に取り組んできた。中国も例外ではなく自動車の成長市場と位置付け投資を続ける。新型コロナウイルスの感染拡大や米中貿易摩擦など不確実性は増す現在も、市場の魅力は変わらない。一方で一極集中の輸出拠点としての位置付けは変化する。

米中貿易摩擦などの影響で中国の自動車販売は減少し、そこに新型コロナが拍車をかけた。日系自動車メーカー6社の2月の中国新車販売は、前年同月比約8割も落ち込んだ。それでも市場としての存在感に変わりはない。日本ピストンリングの山本彰社長は「新型コロナの感染が広がっているが、中国は世界最大市場として魅力がある」と言い切る。中国・江蘇省儀征市のピストンリング工場では、2021年度にも生産合理化を図る新ライン建設を計画する。

【リスク分散】

一極集中の弊害を避けるため、中国以外に生産移転するのは仏フォルシアが買収したクラリオン。かつてカーナビゲーションシステムなど世界の生産の半分を中国に依存し、米国など各国への輸出拠点として拡大してきた。しかし米中貿易摩擦や関税などのリスクを避けるため日本やメキシコに生産を移管し、中国の生産比率を大幅に落とした。

ヨロズは中国で生産する部品は東南アジアや日本の生産拠点でも同一の品質で生産できる体制を、製品設計の標準化によって実現した。新型コロナの感染が拡大した影響で中国の武漢工場が封鎖に追い込まれた際も、部品152品目のうち91%に当たる138品目は世界各国の別の工場で代替生産できる状態だったという。需要地の近くで生産し供給する「地産地消」の効果を最大限発揮しつつ、中国の市場鈍化や政治的リスクへの対応にもつなげている。

【地産地消】

トヨタ自動車系の部品メーカーは地産地消を基本戦略に据え、東日本大震災をはじめとする大規模災害もきっかけに、世界規模で生産地の分散化や代替生産などを進めてきた。デンソーやアイシン精機といった1次サプライヤーは中国を成長市場と位置付け生産拠点を強化、整備する一方で、生産面でのリスク分散体制も整える。

ただ2次以下のサプライヤーの中には、安価なコストを背景に中国で大量生産しているケースもある。サプライチェーン全体を密に管理することで、調達リスクの低減を図る。

中国の賃金水準は経済成長に伴い上昇し、生産・輸出拠点としてのコストメリットは薄れつつある。国際貿易投資研究所の高橋俊樹研究主幹は「コスト上昇やリスク分散の観点で中国以外に分散化を図るのは喫緊の課題」と指摘。中国で地産地消を進めながらも、輸出拠点としての役割は変化を避けられない。

日刊工業新聞2020年4月2日

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