おじさん車「アコード」、10代目開発者が若者へ送ったエモーショナル

既成の概念を打ち破り全てを刷新

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新型「アコード」(ホンダ公式サイトより)
本田技術研究所オートモービルセンター開発責任者・宮原哲也氏

アコードは今回で10代目。代を重ねるごとに若いお客さまから目を向けられなくなっていた。30―40代のお客さまの声を聞くと、良くも悪くも普通の良い車であるが、エモーショナルな魅力が足りないのが最大の課題だった。既存のお客さまだけでなく若いお客さまにも選ばれるため、ホンダのモノづくりの原点に立ち返った。モノづくりの原点は人の気持ちの研究にある。若いお客さまが憧れ、既存のお客さまにも共感してもらえる大人なセダンを10代目では狙った。

骨格や環境対応をどうするかにあたり、プラットフォーム(車台)の基礎研究プロジェクトからスタートした。人の居住性や運動性能などをゼロから追求。車体骨格や足回りを刷新し、歴代アコードが求めてきた揺るぎない価値を、格好良いスタイルに調和させて世界で戦えるセダンを目指した。

完成車の重量を前モデルより50キログラム軽くするなど、走りとデザインの進化を実現する低重心・低慣性の新車台が完成した。車体はより多くの超高張力鋼板を使用して、軽量高剛性を図った。5%の軽量化をしながら、曲げ剛性は24%向上、ねじり剛性は32%向上した。

パワートレーンでは、新しいハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載した。内部構成部品の配置換えや冷却効果の向上などでECU(電子制御ユニット)、PCU(パワーコントロールユニット)のサイズも小さくできた。レアアース(希土類)を使用しない磁石を用いた新モーターも採用した。

ハイブリッド車(HV)は燃費を優先するあまり走りの楽しさに欠けるとされるが、新型アコードはHVのイメージを塗り替える妥協のない走行性能があり、またそれを上質に進化させている。

外装は伸びやかなプロポーションをベースにし、ダイナミックカーブなどが特徴。ノーズが長く見えるようにするなど、いかに直感的に格好よく見せるかにこだわった。

パッケージデザインでは、新開発のマルチリンク式リアサスペンションや車体骨格の変更などで、ハイブリッドセダン最大のトランク容量を実現した。最小回転半径を小さくし取り回し性能も向上した。Aピラーを100ミリメートル後方に移動するなどの工夫でワイドな視界につなげている。

新型アコードは既成の概念を打ち破り、全てを刷新した。グローバルで戦えるセダンに仕上げた自信作だ。

【記者の目】
これまで日本製だったが今回はグローバルの効率的な展開を見据え、タイで生産して日本に輸出する。品質の高さに自信を見せるが、開発でこだわった上質感や走行性能といった価値が訴求できるかが重要だ。日本製であることに価値を感じる顧客がいるかもしれない。400万円以上の価格帯と性能のニーズがどれほどマッチするのか注目したい。

(山岸渉)

日刊工業新聞2020年3月17日

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