「防災道の駅」各都道府県に1―2カ所設置へ、国交省が公募
大臣認定、防災計画に織り込む
国土交通省は、大規模災害時の広域活動拠点として利用を検討している「防災道の駅」について、各都道府県から1―2カ所の候補を募り、今秋をめどに大臣認定する方針を固めた。道の駅は市町村が設置・運営し国交省が登録する制度のため、県レベルの関与は薄い。ただ広域的な復興・復旧拠点とするために都道府県を主体とし、各県が策定する広域的防災計画に織り込む。さらに、安定物流を確保するための新広域道路交通計画とも連携させる。
都道府県は幹線道路へのアクセスがよく、洪水や土砂災害などのハザード区域外に立地する道の駅から、地域性を考慮して選ぶ。国が財政支援し、災害時に自衛隊や警察、テックフォース(緊急災害対策派遣隊)などが活動できるスペースや、緊急物資の集積・供給場所、ヘリポートなどを整備する。平時にはドクターヘリの利用なども検討する。
道の駅は1160カ所ある。このうち約500カ所は、全国の市町村が地域防災計画で一時避難所と位置付けている。これらの施設には、国の予算で耐震化工事や非常用電源、貯水タンク、備蓄倉庫などを整備中。ただ、多くの道の駅が国などの道路管理者が駐車場やトイレを整備し、市町村がその他の施設を設置・運営しているため、国交省は災害時に道路管理者と設置者の役割を明確にする協定の締結を勧めていく。加えて定期的な防災訓練の実施、BCP(事業継続計画)の策定を促す。
新潟県中越地震や東日本大震災では、道の駅が自然発生的に避難所や活動拠点となった。岐阜県大野町は18年7月に開設した「パレットピアおおの」に、最初からヘリポートや自衛隊などの活動スペースを設けた。
全国で災害対応拠点として道の駅に期待が高まっており、広域対応する防災道の駅と地域の一時避難所の二段構えで大規模災害への対応力を高める。
日刊工業新聞2020年2月25日