「5GスマホでMLCCの受注が膨れる」(太陽誘電社長)、王者・村田にどう対抗しますか?

登坂正一社長インタビュー

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太陽誘電社長・登坂正一氏

―2020年は第5世代通信(5G)市場の拡大が予測されています。需要にどう応えていきますか。
「スマートフォンメーカー各社は5Gスマホに参入しない限り、次はないとみてこぞって参入してくる。受注が膨れる可能性が高い。このため、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の生産能力は21年3月期も20年3月期と同程度の前期比10%増、生産性改善で最大5%の能力上乗せを計画している。このペースはしばらく続くだろう」

「複合デバイスは、表面弾性波(SAW)フィルター、圧電薄膜共振子(FBAR)フィルターに加えて、セラミックフィルターが5Gスマホ向けで数量増になるとみている。期待に応えていきたい」

―MLCCは大型品が求められる5G基地局向けや車載向けなどでも需要があります。
「大型品が増えると前工程が、スマホ向けのような小型品が増えると後工程がそれぞれ逼迫(ひっぱく)する。基地局、データセンター、ここにさらに自動車向けが入ると、20年後半には需要過多になる可能性はある。生産性の改善で補いたい」

―新事業創出に向けて、においセンサーを開発中です。
「世の中にはさまざまなセンサーがあるが、においのセンシングが遅れており、当社のSAW/FBARフィルター技術を活用して開発を進めている。におい物質が付くとSAWフィルターの振動でにおいを感じる。より感度の高いFBARフィルターを使うと、犬の鼻レベルが可能になる。がん細胞のにおい検知やスマホのアプリケーションとしての口臭検知など“コト”領域も開拓していきたい」

―開発した全固体電池は20年度中のサンプル出荷、21年度中の量産開始としています。
「顧客の話を聞きながら、試行錯誤を繰り返す中で使い勝手を良くする。生産工場は今年半ばには決めたい。MLCCの生産設備の転用で生産できるため、量産まで多くの時間を要しない」

―21年3月期までの中期経営計画の計画値に変更はありますか。
「売上高3000億円、3年間の累計設備投資1500億円など計画は変えていない」

【記者の目】
太陽誘電は不良率の大幅な低減や生産性向上による収益性の向上を目指して、生産革新活動「スマートEプロジェクト」を推進中。だが、海外拠点への展開はこれから。「日本で使いやすさを確信して海外展開したい」とする登坂正一社長。外部環境に影響されず、いかに合理的で迅速に生産性を上げていけるか。手腕が試される。

(山谷逸平)

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