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自動車への搭載は1万個へ、電子部品メーカー「MLCC」大攻勢

自動車への搭載は1万個へ、電子部品メーカー「MLCC」大攻勢

村田製作所公式動画より

自動車の電動化は日本の電機業界にとって最後のとりでだ。米中貿易摩擦が激化し、従来エレクトロニクス業界をけん引してきたスマートフォンは減速感が強まる。数少ない成長領域がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)関連であり、特に電動化は電池や半導体、電子部品など波及効果が大きい。


 電動化で最も期待されるのが積層セラミックコンデンサー(MLCC)だ。電気を蓄えたり、電流を整えたりする電子部品で、現在、ほぼ全ての電子回路に搭載されている。MLCC搭載数は現状の車1台当たり最大6000個から、近い将来に同1万個まで増える見通し。MLCCの需給は逼迫(ひっぱく)しており、電子部品各社は能力増強で安定的な供給体制の構築を急ぐ。

 MLCCで世界シェアトップの村田製作所は2019年度中に、MLCCを含む部品関連で増産投資として1000億程度を見込む。7月に、野洲事業所(滋賀県野洲市)に約140億円を投じ、MLCCにも使われる電極材料を生産する新棟建設を発表。今月に入って、約50億円を投じて、MLCCを生産するイワミ村田製作所(島根県大田市)の設備増強と新棟着工を発表した。引き続き年10%の増産を継続する計画だ。

 TDKは19年度、MLCCを含む受動部品事業に500億円程度の投資を見込む。MLCC向けの投資は18年度よりも増やす計画だ。永田充常務執行役員は「当社が得意とするのはハードスペック」とし、モーター制御基板向けに高温下での信頼性を追求している。

 太陽誘電も19年1月、約150億円を投じて新潟県上越市内の子会社の敷地内に、MLCC生産の新棟を建設することを発表した。20年4月に完成し、20年度内に稼働する計画だ。新棟の建設で生産能力を4割高める。

 京セラは競合メーカーと比べてMLCCのシェアは低いものの、生産能力を年率約30%引き上げ、需要増に対応していく方針だ。

 MLCC以外では、日本電産が成長の柱とする車載用モーターなどの生産能力の引き上げを図る。特にEVに使う駆動用モーターの増産を急いでいる。永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)はEV増により、「トラクションモーターの受注が殺到している。欧州のOEM(相手先ブランド)メーカーからも大きな引き合いがある」とする。20、21年度の受注数量計画が4月時点に比べ、大幅に増加している。
日刊工業新聞2019年8月15日付記事から抜粋

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