中国のサプライチェーンが乱れる自動車業界、国内工場の生産に影響広がる
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダが17日、新型肺炎の感染拡大による影響で停止していた中国工場の生産を一部再開した。ただ低水準の稼働に留まるほか、他の日系メーカーを含めまだ停止中の工場があり、生産正常化の時期は見通せない。またサプライチェーン(部品供給網)の混乱が国内工場にも影響を与えており、マツダは一部車種の生産を後ろ倒しした。新型肺炎の影響を織り込み、業績を下方修正する部品メーカーも出てきた。
トヨタは17日、広州市と長春市の2工場で生産を再開し、18日には天津市の工場を再開する計画。従業員が出勤しても生産再開まで至らなかった状況よりは一歩前進した。ただ当面の生産は半分程度に留める方針。豊田章男社長は「人がそれほど集まってくるか分からないし、部品メーカーの状況は動かしてみないと分からないところもある。安心・安全第一でやっていきたい」と話した。
同日、日産とホンダは広州市のそれぞれの工場で、マツダは南京市の工場で一部生産を再開した。マツダは既存の部品在庫を使った対応で一直操業とした。従来は二直だった。また日産は遼寧省、湖北省、河南省の工場の再開は再延期した。
部品メーカーではショーワが17日、広州市の工場で一部生産を再開した。デンソーは中国で徐々に生産を再開する拠点を増やしている。ただ出社できない従業員もおり、フル稼働には至っていない。
中国ではサプライチェーンが一部混乱しており、日本の完成車工場の生産計画に影響を与え始めた。マツダは国内工場で一部車種の生産を後ろ倒しし始めた。ただ「混流生産で柔軟に対応する」(広報担当者)と、現時点では業績に与える影響は想定していない。
日産は国内工場の生産を一部休止した。内田誠社長は13日の決算会見で「今後さらに物流に支障が出るだろう」「生産に支障が出ないよう全体を確認して指揮を執っている」と説明した。
KYBは、顧客の生産や物流に影響が出て2月の業績が落ちると判断し、通期見通しを下方修正した。営業利益の前段階に相当する独自の「セグメント利益」で約21億円の減少要因になるという。