もっと「eパワー」車種を増やしたい日産、中核サプライヤーはどう応える?
愛知機械工業・桜井亮社長インタビュー
―中国の市場低迷や、親会社日産自動車の販売不振の影響は。 「2019年度当初描いていたより、大分厳しい状況だ。売り上げベースでは10%強、計画を下回っている。その中でも利益を確保できるよう、コスト対策を強化している。20年は決して楽観できないが、新型車効果などを追い風に上向きの計画を作りたい」
―この3年ほど100億円規模と高水準の設備投資が続いています。 「複数のプロジェクトが進んでおり、20年度も19年度の120億円と同等の額を見込んでいる。生産増強や新機種対応が大部分だ。3―4年前からは汎用ラインへの切り替えを進めている。例えば小型車用と中型車用を同じラインで作るなど、少しの変更でいろいろな車種に対応でき、コスト減につなげられる」
―日産の電動技術「eパワー」向け駆動部品が好調です。 「エンジンも増減速機も増える見通しだ。主力製品になるだろう。既存の経営資産を最大限活用して増産する。生産量の落ちたラインを集約するなど、全体で生産能力を引き上げる」
―eパワーの海外展開への対応は。 「現状では海外進出の計画はない。いたずらに固定費を増やしてもメリットはない。だが現地調達が必要になった場合に、日産グループの既存拠点に技術支援することは当然ありえる。グループ全体での戦略が必要だ」
【記者の目】
19年度の売上高は1100億円程度を見込んでいるもよう。20年は好調なeパワーを軸に、コストを抑えながらも成長機会をしっかり取り込むことが重要だ。電動化といった潮流が迫り、部品メーカーの再編機運は高まるが、内燃機関メーカーとして強みを発揮することが、生き残りにつながる。
日刊工業新聞2020年2月6日