印刷業はこれからどうなる?凸版印刷が中期経営計画でやりたいこと

デジタル時代 総合印刷の進む道(1)

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同社公式サイトより

紙媒体の減少を背景に、印刷各社は事業の創出や成長分野へのシフトを進めてきた。各社は2020年にどのような道を描くのか。これまでの成果や課題と併せて印刷各社のトップに戦略を聞く。第1回は凸版印刷の麿秀晴社長。

―経営課題として新事業創出と海外事業の拡大、構造改革を掲げてきました。

「構造改革以外は成果が見えてきた。海外事業はパッケージが利益貢献し始め、建装材は独インタープリント買収で市場が広がり、ビジネスの拠点も拡大した。紙媒体を中心に既存型のビジネスは想定通り縮小しているが、手応えを出してきた事業が減少を補っている。どのビジネスにどのような付加価値をつけるか、今は研究開発の仕込みや試行錯誤に良い時期だ」

―5月に中期経営計画を発表します。

「まず今後6年程度の方向性を示してから、前半3年間の取り組みについて説明する予定だ。戦略に対して今の体制や仕組みのままでは不十分。課題を先送りせず最初の2、3年で事業モデルやポートフォリオを変えていく」

―具体的には。

「中計に合わせて組織の体制を変える構想もある。特に新規事業は既存事業の枠組みにはめるとアウトプットがバラバラになる。特定のテーマを1カ所に投げればトータルソリューションを提案できる体制が必要だ」

―研究開発費を19年度比1・5倍の300億円に引き上げます。

「どのテーマに人員や資金を割くか検討中だが、人工知能(AI)は一つの候補。凸版ならではの育て方をすれば新たなビジネスモデルに貢献できる」

―既存事業の選択と集中について。

「投下資本利益率(ROIC)を基準に決めるがコア事業は維持する。例えば働き方改革の課題が増えている中で(顧客からの)受注業務という受け皿は必要だ」

―海外情勢や国内景気はどうみていますか。

「海外情勢は楽観視できない。国内は東京五輪・パラリンピックや、インフラ系ではカジノを含む統合型リゾート(IR)、大阪万博と話題は尽きず環境は悪くない」

【記者の目/将来を占う1年に】

20年で創立120周年の節目を迎えるが、将来を占う中計1年目として緊張感が強い年になりそうだ。現在の技術やサービスは紙への印刷を起点に放射状に大きく広がってきた。各事業部内に点在する取り組みをどのテーマでまとめ上げるのか、凸版らしいトータルソリューションの確立に期待したい。(国広伽奈子)

凸版印刷社長・麿秀晴氏

日刊工業新聞2020年2月3日

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