キヤノンが商業印刷機で攻勢、決め手は「ピエゾ方式インクジェットヘッド」

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キヤノンのデジタル商業印刷機

キヤノンは商業印刷機分野への攻勢を強める。同印刷機向けに、微小電気機械システム(MEMS)技術を用いたピエゾ方式のインクジェット(IJ)ヘッドを開発した。従来は他社から調達していたが、基幹部品の内製化により製品競争力を高める。2020年以降に発売するデジタル商業印刷機に順次搭載する方針。包装材や段ボールなどに印刷する商業印刷は新規事業の一つとして、カメラやプリンターに代わる業績のけん引役と期待する。

キヤノンはサーマル方式のインクジェット技術を持ち、家庭向けインクジェットプリンターで競合するセイコーエプソンなどがピエゾ方式を採用していた。キヤノンが10年に買収したキヤノンプロダクションプリンティング(オランダ・フェンロー市、旧オセ)はピエゾ方式の技術を有しており、このほど高精度・高密度なインクジェットヘッドの開発に成功した。

インクジェットは印刷する対象物を選ばないため、もともと商業印刷向きの技術とされる。中でもピエゾ方式はインクに熱を加えないため、インクの微妙な変化を防いで使用できる。特に色の再現性にこだわり、わずかな色の変化も嫌うプロフェッショナル用途に適する。商業印刷機はインクジェットのほかに、複写機・複合機に使われる電子写真方式もある。

キヤノンはこれまで唯一欠けていたピエゾ方式のインクジェット技術を確立したことで、商品包装や段ボール、布などを対象にした商業印刷分野へ攻勢を強める戦略だ。業界のデジタル移行を背景に、世界のデジタル印刷市場は21年まで年率5―6%の成長が続く見通しだ。

キヤノンの新規事業は商業印刷に加えて、ネットワークカメラとメディカル、産業機器が4本柱。旧オセのように各事業でM&A(合併・買収)を重ねて事業構造転換に取り組んできた。21年前後に売上高全体に占める新規事業比率を30%(18年実績23%)に引き上げる目標を掲げる。

日刊工業新聞2020年1月24日

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