「ソニー自動車」にみる、部品メーカーの大チャンス到来
年初、米ラスベガスで開かれた世界最大規模の家電・IT見本市「CES」。日本企業の出展物で注目を集めたのは、ソニーが試作した車だった。実物を見た日本の大手電機幹部は「完成度が高く格好良かった」と舌を巻く。
ソニーが得意とする画像センサーなどのセンサー類を計33個搭載し、自動運転機能を持たせた。社長の吉田憲一郎さんは「携帯端末の次のメガトレンドはモビリティー(移動体)だ」と意欲をみせる。
実はソニーほど派手ではないが、数年前から部品メーカーが、自社製品を自動車に搭載してアピールする取り組みは活発化している。ルネサスエレクトロニクスは、マイコンなどを搭載したデモカーを2016年には走らせていた。
自動車産業は、電動化や自動運転の先進技術が巻き起こす大変革期に入った。競争軸は燃費や走りのスペック(性能)から、自動車でどういった新たな価値や機能を消費者に提供できるかにシフトしている。
部品メーカーは、自社製品で実現できる新機能を示す必要があり、デモカーがその役割を担う。自動車産業の変革の流れは“麓”まで広がっていく。中堅・中小企業にとっても、価値提案の発想で自動車ビジネスに取り組む姿勢が重要になる。
日刊工業新聞2020年1月30日