日産が世界最大手・中国CATLから初採用、主要自動車メーカー「電池調達」の全貌
日産自動車は、2020年度内の発売を予定する電気自動車(EV)の戦略車に、車載電池最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)製の電池を採用する。日産が世界販売するEV向けにグループ外の企業から電池を調達するのは初めて。既存の電池サプライヤーとの取引も継続する。調達先を広げ、地域や車種ごとに最適な電池を安定確保する狙いだ。
日産がCATL製電池を採用するのは、19年に公開したコンセプトカー「アリア」をベースに開発する新型EV。まずは栃木工場(栃木県上三川町)で生産し、20年度以降に日本や米国、中国市場に投入する計画。4輪駆動(4WD)が特徴で、現時点では「力強い走りを実現するには、CATL製電池が最適だった」(日産関係者)という。電池形状についても初めて「角型」を採用する。
日産は中国政府のEV普及策に沿う形で、CATL製電池を中国専用EVに採用した実績はある。しかし「リーフ」など世界展開するEVには、子会社だったオートモーティブエナジーサプライ(AESC)製の電池を採用してきた。形状は「パウチ型」だった。
AESCは19年に中国・エンビジョングループ傘下に入り、社名はエンビジョンAESCグループに変更したが、日産が今も20%出資する。日産は電池調達でエンビジョンAESCとの取引を継続するほか、今後も新規開拓する。仕入れの安定化を図るとともに、EVのサイズなどの仕様ごとに複数候補の中から最適な電池を選定しコスト、性能の両面で競争力を高める。日産はハイブリッド車(HV)にはパナソニックなどグループ外の企業の電池も採用済み。
電池はEVのコストや性能を左右する中核で、その調達戦略がEVの競争力を左右する。トヨタ自動車やホンダも取引先を広げるなどてこ入れしている。
11年創業のCATLは中国政府の強力な支援を受けて急成長。日系自動車メーカーでは日産のほか、トヨタやホンダとも取引・協業している。