観光大国へ正念場、「五輪→地方」への流れを作れるか

脱ゴールデンルートが必要

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昨年のG20の国際メディアセンターで日本のおもてなし「こんぴらふねふね」を体験する外国人

政府は東京五輪・パラリンピックを起爆剤に2020年に訪日外国人客(インバウンド)4000万人、30年に6000万人の目標を掲げている。日韓関係の悪化で韓国人観光客が昨秋以降、前年より6割減るなど不安要素もあるが、今年はカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の候補地がでそろい、観光大国に向けた機運が高まる。

インバウンド拡大に向けさまざまな政策が進んでいる。言葉の壁を引き下げるためスマートフォンを利用した多言語案内や無料Wi―Fi、キャッシュレス決済の拡大などだ。羽田空港や成田空港では発着枠を拡大し、顔認証システムの導入で出入国の迅速化を図る。

こうした効果もあり、訪日外国人は東日本大震災があった11年の621万人から伸び続け、18年は3119万人になった。昨秋のラグビーのワールドカップ(W杯)は大勢の外国人が地方で民泊を経験し台風被害のボランティアに参加するなど、新しい受け入れの形も芽生えつつある。この流れを引き継ぎ、10年後の6000万人につなげる。

実現に向けては観光客の脱ゴールデンルート(東京―富士山―京都―大阪)を進める必要がある。このため城や寺、農家など非日常空間への宿泊、ナショナルサイクルルート(自転車道)の整備、美術館の夜間開館など地方の観光コンテンツの開発を急ぐ。地方の公共交通網の脆弱(ぜいじゃく)性を克服するため、タクシーやレンタカーなどを含めた観光型MaaS(乗り物のサービス化)も導入する。

一方、20年前半に立候補を募るIR候補地には千葉、東京、横浜、名古屋、大阪、和歌山、長崎の7地域が意思を示しており、決定地次第では観光客の流れが大きく変わる可能生がある。先月、菅義偉官房長官は「各地に世界レベルのホテルを50カ所新設する」意欲を示した。ただ、この20年間に多くの観光地で大型ホテルや旅館が倒産しており、既存観光業の支援と外資系ホテルの誘致の両立も大きな課題となろう。

(取材・板崎英士)

日刊工業新聞2020年1年1日

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