METI
日本にお金を落としてくれる上位5カ国、見えてきた商売のヒント
食欲に走るタイ人、米国人は買い物控えめ
経済解析室で試作している「訪日外国人消費指数」について、平成29年第3四半期分では、訪日外国人消費額の地域別指数に加え、上位5カ国・地域の国別・地域別指数を試算してみた。
ここでは、この上位5カ国・地域の国別・地域別指数でみる訪日客の消費行動の特徴の違いを、平成28年通年や最新の29年第3四半期の数値をみながら、ご紹介していく。
28年の訪日外国人消費額(=訪日外国人旅行者数×一人当たりの旅行支出額)の上位5カ国・地域は、①中国(含む香港)(1兆7702億円)、②台湾(5245億円)、③韓国(3578億円)、④米国(2130億円)、⑤タイ(1150億円)となった。
この上位5カ国・地域について、まずは、28年と29年第3四半期の訪日外国人消費額の国別・地域別構成比の変化を確認していきたいと思う。
28年では、中国(含む香港)が構成比約4割とトップで、この時点で中国(含む香港)の割合はかなり高かったのだが、29年第3四半期にはさらに拡大、5割目前に迫っている。2番手グループの韓国や台湾の構成比はそれぞれ約1割ほど、このうち韓国の割合は1.6%ポイントほど高まってはいるが、トップの中国(含む香港)には遠く及ばない。
他方、この上位5カ国・地域以外を集約した「その他」の割合をみると、29年第3四半期には約2割にまで縮小している。
上位5カ国・地域からの訪日客の消費額だけで全体の8割に達し、また、全体の5割を中国(含む香港)からの訪日客が占めているわけだから、上位5カ国・地域、とりわけ中国(含む香港)の影響の大きさには、改めて驚かされる。
次に、この上位5カ国・地域の28年における費目別構成比を比較してみよう。
訪日外国人消費額トップの中国(含む香港)は、買物代の構成比が最も高く、3割を超えている。他の国・地域が1~2割ですから、中国(含む香港)の買物代の構成比は、想像どおり、かなり高いものとなっていた。
消費額2位の台湾、3位の韓国、4位の米国は、いずれも宿泊料金と飲食費がそれぞれ3割程度を占めており、似たような構成比となっている。
この中で米国に注目してみると、日本国内での交通費が2割程度と他の国・地域よりも極めて高く、その分買物代が若干低めだ。5位のタイは、飲食費の構成比が4割を超えているのが特徴的だ。
訪日外国人消費額の上位5カ国・地域だけを比較してみても、その国・地域によって、訪日の際の消費特性が異なるのは興味深いところだ。
最後に、5カ国・地域の29年第3四半期までの指数(消費支出の水準)の推移を比較してみよう。
まず、左下の折れ線グラフをみて気付かされるのは、中国(含む香港)の指数値の高さだ。26年後半から急拡大をみせた中国(含む香港)指数は、27年後半から横ばい状態となったが、こと29年第3四半期は前期比19.8%と大きく上昇し、指数値649.3と、22年のレベルの約6.5倍にまで拡大している。
これは、同じ第3四半期の訪日外国人全体の指数値371.9をはるかに上回り、この間の圧倒的な変化の大きさを示している。
また、29年第3四半期までの指数の伸びの2番手がタイというのは意外なところではないだろうか。タイ指数は、中国(含む香港)よりも早い25年後半から拡大基調に入り、27年以降は上昇・低下の変動は激しいものの、順調にその指数値を上げてきている。
29年第3四半期は指数値439.7と、22年の4倍以上にまで到達した。訪日外国人消費全体に対する影響度合いという意味では、中国(含む香港)・韓国・台湾には及ばないが、今後のタイ指数の動向は要注目かと思う。
次に、右側のグラフで、訪日外国人消費指数全体の前期比の変動に対する寄与をみてみる。27年は、中国(含む香港)の寄与が圧倒的だったが、28年にはその影響度合いはかなり低くなり、代わりに韓国の寄与の大きさが目立つことが多くなった。
韓国の指数値自体は訪日外国人全体の指数水準よりも低く推移しているが、前期比寄与としては影響度合いが高くなっている。29年第3四半期には再び中国(含む香港)の寄与が大きく出たが、今後の動向が気になるところだ。
今回、国別・地域別指数として、訪日外国人消費額上位5カ国・地域の指数を作成し、それぞれの特徴をみてみたところ、訪日外国人消費全体に対する中国(含む香港)からの訪日客の影響の大きさを改めて認識させられるとともに、意外な国が指数値を伸ばしていること、また、全体に対する寄与という観点では、中国(含む香港)以外の国・地域の影響も大きいこと、そして、上位5カ国・地域それぞれの消費特性は異なっていることがわかった。
ここでは、この上位5カ国・地域の国別・地域別指数でみる訪日客の消費行動の特徴の違いを、平成28年通年や最新の29年第3四半期の数値をみながら、ご紹介していく。
中国からの訪日客の影響が甚大
28年の訪日外国人消費額(=訪日外国人旅行者数×一人当たりの旅行支出額)の上位5カ国・地域は、①中国(含む香港)(1兆7702億円)、②台湾(5245億円)、③韓国(3578億円)、④米国(2130億円)、⑤タイ(1150億円)となった。
この上位5カ国・地域について、まずは、28年と29年第3四半期の訪日外国人消費額の国別・地域別構成比の変化を確認していきたいと思う。
28年では、中国(含む香港)が構成比約4割とトップで、この時点で中国(含む香港)の割合はかなり高かったのだが、29年第3四半期にはさらに拡大、5割目前に迫っている。2番手グループの韓国や台湾の構成比はそれぞれ約1割ほど、このうち韓国の割合は1.6%ポイントほど高まってはいるが、トップの中国(含む香港)には遠く及ばない。
他方、この上位5カ国・地域以外を集約した「その他」の割合をみると、29年第3四半期には約2割にまで縮小している。
上位5カ国・地域からの訪日客の消費額だけで全体の8割に達し、また、全体の5割を中国(含む香港)からの訪日客が占めているわけだから、上位5カ国・地域、とりわけ中国(含む香港)の影響の大きさには、改めて驚かされる。
「し好」は異なる
次に、この上位5カ国・地域の28年における費目別構成比を比較してみよう。
訪日外国人消費額トップの中国(含む香港)は、買物代の構成比が最も高く、3割を超えている。他の国・地域が1~2割ですから、中国(含む香港)の買物代の構成比は、想像どおり、かなり高いものとなっていた。
消費額2位の台湾、3位の韓国、4位の米国は、いずれも宿泊料金と飲食費がそれぞれ3割程度を占めており、似たような構成比となっている。
この中で米国に注目してみると、日本国内での交通費が2割程度と他の国・地域よりも極めて高く、その分買物代が若干低めだ。5位のタイは、飲食費の構成比が4割を超えているのが特徴的だ。
訪日外国人消費額の上位5カ国・地域だけを比較してみても、その国・地域によって、訪日の際の消費特性が異なるのは興味深いところだ。
全体の寄与では韓国も存在感
最後に、5カ国・地域の29年第3四半期までの指数(消費支出の水準)の推移を比較してみよう。
まず、左下の折れ線グラフをみて気付かされるのは、中国(含む香港)の指数値の高さだ。26年後半から急拡大をみせた中国(含む香港)指数は、27年後半から横ばい状態となったが、こと29年第3四半期は前期比19.8%と大きく上昇し、指数値649.3と、22年のレベルの約6.5倍にまで拡大している。
これは、同じ第3四半期の訪日外国人全体の指数値371.9をはるかに上回り、この間の圧倒的な変化の大きさを示している。
また、29年第3四半期までの指数の伸びの2番手がタイというのは意外なところではないだろうか。タイ指数は、中国(含む香港)よりも早い25年後半から拡大基調に入り、27年以降は上昇・低下の変動は激しいものの、順調にその指数値を上げてきている。
29年第3四半期は指数値439.7と、22年の4倍以上にまで到達した。訪日外国人消費全体に対する影響度合いという意味では、中国(含む香港)・韓国・台湾には及ばないが、今後のタイ指数の動向は要注目かと思う。
次に、右側のグラフで、訪日外国人消費指数全体の前期比の変動に対する寄与をみてみる。27年は、中国(含む香港)の寄与が圧倒的だったが、28年にはその影響度合いはかなり低くなり、代わりに韓国の寄与の大きさが目立つことが多くなった。
韓国の指数値自体は訪日外国人全体の指数水準よりも低く推移しているが、前期比寄与としては影響度合いが高くなっている。29年第3四半期には再び中国(含む香港)の寄与が大きく出たが、今後の動向が気になるところだ。
今回、国別・地域別指数として、訪日外国人消費額上位5カ国・地域の指数を作成し、それぞれの特徴をみてみたところ、訪日外国人消費全体に対する中国(含む香港)からの訪日客の影響の大きさを改めて認識させられるとともに、意外な国が指数値を伸ばしていること、また、全体に対する寄与という観点では、中国(含む香港)以外の国・地域の影響も大きいこと、そして、上位5カ国・地域それぞれの消費特性は異なっていることがわかった。